Nature ハイライト

細胞生物学:統合的ストレス応答に役割を果たす新しい因子群

Nature 579, 7799

哺乳類細胞では、ミトコンドリアの機能不全は統合的ストレス応答(ISR)を開始させ、その結果、eIF2α(eukaryotic translation initiation factor 2α)のリン酸化が増大し、転写と翻訳の調節を介してストレス適応が起こる。しかし、ミトコンドリアストレスを細胞質に伝えて、ISRを引き起こす仕組みは分かっていない。今回2つの研究チームが独立に同じ結論にたどり着いた。M Kampmannたちはゲノム規模のCRISPR干渉スクリーニングを用い、L Jaeたちは一倍体の遺伝的スクリーニングによりこの疑問に取り組んだ。両研究チームの主な知見から、ミトコンドリアストレスに応答してOMA1と呼ばれるミトコンドリアのプロテアーゼが活性化され、これが機能のよく分かっていなかったDELE1と呼ばれるミトコンドリア内膜タンパク質の切断につながることが明らかになった。その結果、DELE1は細胞質ゾルに蓄積できるようになり、DELE1はそこでHRI(haem-regulated inhibitor)と呼ばれる特異的なeIF2αキナーゼと相互作用して、これを活性化する。

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