Nature ハイライト

実験物理学:陽子半径の見直し

Nature 575, 7781

陽子電荷半径の値はいくつなのか。2010年から議論が続いていることから明らかなように、この一見したところ単純な質問に対する簡単な答えはなく、これは「陽子半径問題」と呼ばれることがある。ミューオン水素の分光測定から、陽子電荷半径の値は、電子–陽子散乱実験と水素の分光測定を通して以前に見いだされた値よりも小さいと報告されたことで、過去のデータを再検討し、理論的な枠組みを改善するとともに、より高精度でモデルにあまり厳しく依存しない新たな測定を行う必要性が明らかになった。今回、米国ジェファーソン研究所のPRadコラボレーションが、陽子電荷半径を決定する最新の電子散乱実験の結果を報告している。今回見いだされた値は、ミューオン水素の研究と一致しており、これによって、同様に高精度の電子–陽子散乱を使った研究で以前に得られていた値よりも小さな半径が裏付けられた。

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