Editorials
今後4号にわたってOpinionセクションでは、ダーウィンの進化論に対する反応がどれほどさまざまであったかを振り返り、科学と文化を考える。
p.1173
doi: 10.1038/4611173b
遺伝子治療は期待に応える成果が上がらず、関心も薄れているが、幻滅するのではなく、その後の進歩も踏まえて新たな視点で取り組み続けるべきだ。
Gene therapy deserves a fresh chance p.1173
Initial interest in gene therapy waned after the technology failed to live up to expectation. Progress made since has received little attention, but suggests that the pervading sense of disillusionment is misplaced.
doi: 10.1038/4611173a
科学者や研究機関は、研究成果を過大に宣伝したいという誘惑に負けないよう、心すべきだ。
p.1174
doi: 10.1038/4611174a
News
NEWS BRIEFING
p.1178
doi: 10.1038/4611178a
アフリカの科学分野への支援に、世界的な金融危機の深刻な影響が。
p.1180
doi: 10.1038/4611180a
米エネルギー省に対し、高エネルギー天体物理学の専門家委員会が、研究計画の優先順位を提言。
p.1181
doi: 10.1038/4611181b
韓国の幹細胞研究者、黄禹錫氏に、助成金の詐取、生命倫理違反で有罪判決。
p.1181
doi: 10.1038/4611181a
米国と欧州の協力による暗黒エネルギー探査計画(JDEM)が、内部の対立で暗礁に。
p.1182
doi: 10.1038/4611182a
ROAD TO COPENHAGEN オゾン層保護のためのモントリオール議定書を、温暖化問題にも配慮した形に修正する取り組みが。
p.1184
doi: 10.1038/4611184a
米国の大学が、軍事的な機密情報の流出の監視、規制を強化へ。
p.1185
doi: 10.1038/4611185a
HIVワクチンの臨床試験の結果が「画期的」とする見方に、疑問の声が。
p.1187
doi: 10.1038/4611187a
News Features
意志決定:リスクの学校
p.1189
一般の人々でも学習すれば、リスクを正確に評価し、正しい決定を下せるようになるのだろうか。
doi: 10.1038/4611189a
神経科学:痛みを狙い打ち
p.1194
痛みを和らげる方法を探すために、脳での処理に着目し、痛みを与える実験を繰り返している研究者がいる。
doi: 10.1038/4611194a
News & Views
量子情報:最終ラインで捕まえる
p.1217
量子系からは不断に情報が漏れ出て失われるので、これが実用化の際の有用性を限られたものにしている。漏れを最大限防ぐことで、固体系ではこうした情報損失が減らされ、ほんの少しになった。
doi: 10.1038/4611217a
材料科学:見えてきたマルチフェロイクスへの道
p.1218
強磁性や強誘電性などのフェロイックな性質をあわせもつ材料は非常に望ましいものだが、まれである。新種のマルチフェロイクス固体は、こうした材料を作製する新規な方法の先触れである。
doi: 10.1038/4611218a
進化生物学:速度と様式のリズムの崩れ
Arrhythmia of tempo and mode p.1219
細菌を使った実験的進化の試みが20年以上、4万世代にわたって行われている。今までのところ、その結果からは新しい世界の一端がうかがわれ、喜びと不安の両方を引き起こすものとなっている。
doi: 10.1038/4611219a
宇宙物理学:宇宙の最も遠いところで起こった爆発の観測
p.1221
これまでで最も遠いところで起こったγ線バーストが観測されたが、これは今までに観測された中で、宇宙の歴史における最古の天体である。この太古の「かがり火」により、あまり知られていなかった宇宙の暗黒時代を垣間見ることができる。
doi: 10.1038/4611221a
触媒:表面反応を結合で制御する
p.1223
触媒は特定の生産物が生じる方向へ反応を進めるが、その制御の基盤はわからないことが多い。量子化学的計算により、触媒反応のネットワーク内で、どのパラメーターが結合形成を制御しているかが明らかになった。
doi: 10.1038/4611223a
構造生物学:結合相手のDNAを形で選ぶ
p.1225
DNA結合タンパク質は、ヒトゲノムの30億に上る塩基対の中から自分の結合相手を探すという大変な仕事をしなければならない。配列だけでなく、DNAの形状も、タンパク質にとって重要な手がかりとなるようだ。
doi: 10.1038/4611225a
統計物理学:光によって渦を巻く
p.1226
液体に浸したマイクロメートルサイズの粒子は、光によって捕捉可能である。実験によって、この捕捉には光の強度変化によって方向が逆転する渦を伴うことが示された。
doi: 10.1038/4611226a
Articles
進化:大腸菌の長期実験でみられたゲノム進化と適応
Genome evolution and adaptation in a long-term experiment with Escherichia coli p.1243
doi: 10.1038/nature08480
生化学:タンパク質のDNA認識におけるDNA形状の役割
The role of DNA shape in protein-DNA recognition p.1248
doi: 10.1038/nature08473
Letters
宇宙:z ≈ 8.2の赤方偏移でのγ線バースト
A γ-ray burst at a redshift of z ≈ 8.2 p.1254
doi: 10.1038/nature08459
宇宙:z ≈ 8.1の赤方偏移にあるGRB 090423
GRB 090423 at a redshift of z ≈ 8.1 p.1258
doi: 10.1038/nature08445
物理:強い短パルス・レーザー場における中性原子の加速
Acceleration of neutral atoms in strong short-pulse laser fields p.1261
doi: 10.1038/nature08481
物理:固体における電子スピンコヒーレンスを最適ダイナミカルデカップリングによって維持する
Preserving electron spin coherence in solids by optimal dynamical decoupling p.1265
doi: 10.1038/nature08470
地球:沈み込み帯火山の中間的メルトの欠乏と島弧安山岩の成因
A dearth of intermediate melts at subduction zone volcanoes and the petrogenesis of arc andesites p.1269
doi: 10.1038/nature08510
感覚:渡り鳥の一種では磁気コンパス情報が視神経を介するが三叉神経を介さない
Visual but not trigeminal mediation of magnetic compass information in a migratory bird p.1274
doi: 10.1038/nature08528
神経:一元的なGABAを介する拡散性伝達(volume transmission)による皮質微小回路の調節
Regulation of cortical microcircuits by unitary GABA-mediated volume transmission p.1278
doi: 10.1038/nature08503
医学:腸管微生物叢と化学誘引物質受容体GPR43による炎症応答の調節
Regulation of inflammatory responses by gut microbiota and chemoattractant receptor GPR43 p.1282
doi: 10.1038/nature08530
生理:レゾルビンD2は強力な白血球調節因子で敗血症を制御する
Resolvin D2 is a potent regulator of leukocytes and controls microbial sepsis p.1287
doi: 10.1038/nature08541
細胞:着床後胚盤葉上層の多能性胚性幹細胞へのエピジェネティックな逆戻り
Epigenetic reversion of post-implantation epiblast to pluripotent embryonic stem cells p.1292
doi: 10.1038/nature08534
発生:ショウジョウバエにおけるlarge Maf遺伝子traffic jamによるpiwiの調節回路
A regulatory circuit for piwi by the large Maf gene traffic jam in Drosophila p.1296
doi: 10.1038/nature08501
生化学:タンパク質の触媒作用と設計への結合エネルギーの利用
Exploitation of binding energy for catalysis and design p.1300
doi: 10.1038/nature08508
Review Article
細胞:最新のリボソーム構造が翻訳機構について明らかにしたこと
What recent ribosome structures have revealed about the mechanism of translation p.1234
doi: 10.1038/nature08403