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時間分解コヒーレント反ストークスラマン散乱による単一分子の振動の観測

Nature Photonics 8, 8 doi: 10.1038/nphoton.2014.143

分子内の化学結合の運動は、超高速非線形分光によって生成され、調べられる振動波束の形でリアルタイム観測できる。そうした非線形光学測定は、一般的には大きな分子集団について行われるため、集団コヒーレンスを維持できる範囲に限られている。今回我々は、時間分解表面増強コヒーレント反ストークスラマン散乱を利用して、単一分子の振動波束運動を記録したことを報告する。周囲条件下で単一分子の運動を検出するのに必要な感度は、分子にダイポールナノアンテナ(金のダンベル)を取り付けることによって実現されている。分子集団の測定とは異なり、単一分子の振動コヒーレンスは純位相緩和を受けず、特徴的な統計性を持つ位相ゆらぎを発生させる。我々は、離散的にサンプリングした統計的状態の時間発展を提示し、信号の初期の特徴的な確率分布関数に特異な情報が含まれていることを明らかにしている。

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