フォトニクス:光の科学と技術

「光子(photon)」とは光の粒子のことで、この言葉が初めて用いられたのは1900年代初頭のことでした。その時、20世紀物理学の創始者であるマックス・プランクとアルバート・アインシュタインは、光がエネルギーの個々の小さな塊として移動するという仮説を立て、その後その正当性を実証したのでした。

しかし「フォトニクス(光の科学と応用)」という研究分野が本格始動したのは、レーザーが発明され、半導体オプトエレクトロニクスが登場した1960年代になってからのことです。

それ以来、フォトニクス研究の人気は順調に伸び、学術機関や企業の物理学、電子工学、材料科学の研究者が関与する重要かつ多様な研究分野となりました。今やその研究範囲は、光の生成、操作、検出のすべての側面に及び、極端な紫外域から遠赤外域までを対象としています。

フォトニクス研究の規模について、数値を挙げて説明します。現在、全世界でフォトニクス研究を行っている大学学部と研究機関の数は3,000以上と推定されています。また米国、ヨーロッパとアジアの光学に関連する学会に所属する科学者とエンジニアの数は約25万人と考えられています。ISI Web of Scienceから集計したデータによれば、2005年に発表されたフォトニクス関連の研究論文の数は68,000件を超えています。

今日のフォトニクスは、ノーベル賞受賞研究分野であるだけでなく、家庭、研究機関や工場で使われる現代のデバイスの背後にある重要な技術でもあるのです。例えばレーザーは、光ファイバー通信、データ記憶、超小型電子加工技術や眼科手術といった用途を下支えしているのです。またLEDの登場により、電球の需要は急激に低下し、その一方でCCD画像センサーは、研究用デジタルカメラや消費者向けデジタルカメラの心臓部に使用されています。

Optoelectronics Industry Development Association(OIDA、米国)の最近の市場調査報告書によれば、オプトエレクトロニクスコンポーネントとオプトエレクトロニクス対応製品の市場規模は、2004年に2,360億ドル(約27兆1,400億円)となり、対前年で39%の伸びとなりました。そしてフラットパネルディスプレイ(43%増)、高輝度 LED(37%増)、画像センサー(37%増)は、それぞれ売上高を大幅に伸ばしました。

相当程度のオプトエレクトロニクス研究と商品化が日本国内で行われているため、Nature Photonics は、編集本部を東京に設置することを決めました。なお東京での編集作業は、ヨーロッパ(ロンドン)と米国(サンフ ランシスコ)の編集スタッフがサポートすることになっています。

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