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テーパー伝送線路による中赤外エネルギーのナノ集束

Nature Photonics 5, 5 doi: 10.1038/nphoton.2011.33

中赤外線放射によって、化学組成や物質の構造など、さまざまな材料特性の分析が可能になる。したがって、赤外分光は、多くの科学技術分野で不可欠な分析手段である。しかし、回折限界の問題があるため、個々の分子やナノ構造体の研究、高度に集積化された中赤外光デバイスの開発が困難になっている。今回我々は、テーパーをつけた2線式伝送線路に沿って中赤外線表面波を伝搬させることによって、中赤外線のナノ集束を実験的に実証している。テーパーをつけることによって、表面波によって運ばれる電磁エネルギーが圧縮される。我々は、赤外ベクトル近接場顕微鏡法を用いて、テーパーの先端で直径60 nm(λ/150)というナノスケールに限定された赤外スポットへのエネルギー圧縮の進行を直接可視化している。我々の研究は、小型分光計やラボ・オン・ア・チップ集積(バイオ)センサーなど、赤外線表面波を利用した化学的・生物学的センシング手段の開発に道を開くものである。

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