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生体試料における濁りを抑制するための光位相共役

Nature Photonics 2, 2 doi: 10.1038/nphoton.2007.297

<p>弾性光散乱は、生体組織において支配的な光相互作用過程であるが、それによって組織の透明性が損なわれる。散乱は、確率論的なものに思えるかもしれないが、実際にはその性質は決定論的である。我々は、実験的に完全ではないが、光位相共役(<f><italic>λ</italic> = 532 <roman>nm</roman></f>)によって、透過した光場が対象の生体試料を通る軌跡を逆戻りし、元の光場を再生できることを示す。我々は、厚さ0.69 mmのニワトリの胸部組織切片において、点光源の戻り光を<f>∼5×10<SUP>3</SUP></f>倍増強し、集束角29°の範囲内で光透過増強率(light transmission enhancement factor)3.8を達成できた。さらに、再構成された点光源の幅で測定された再構成の質が、組織の厚さ(最大で厚さ0.69 mmまで)と無関係であることがわかった。この現象を利用して、組織を通る透過光の増強、組織の微小運動の測定、新しい組織イメージング技術の基盤の構築が可能になるかもしれない。</p>

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