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アルキルチオール添加剤を用いて安定化したspiro-OMeTADに基づくペロブスカイト太陽電池

Nature Photonics 17, 1 doi: 10.1038/s41566-022-01111-x

オプトエレクトロニクスデバイスにおいて最も広く用いられている正孔輸送材料(HTM)であるSpiro-OMeTADは、十分な導電律と効率的な正孔抽出を実現するために、一般的にリチウム化合物(LiTFSI)による化学ドーピングを必要とする。しかし、このドーピング段階には、ブレンド膜を周囲雰囲気にさらす活性化過程が必要である。その上、リチウムドーパントは結晶化を誘発し、その吸湿性がデバイスの性能と寿命に悪影響を及ぼす。今回我々は、spiro-OMeTAD HTMへの安価なアルキルチオール添加剤(1-ドデカンチオール, DDT)の混入に基づく簡便な方法を報告する。我々は、DDTによって、ドーピング時間が大幅に短縮されたより効率的かつ制御可能なドーピング過程が得られ、HTMが空気活性化前に匹敵する性能を実現できることを発見した。DDTとLiTFSIの間の配位によって、HTMバルクにおけるドーパント濃度が高くなり、界面でのドーパント蓄積が減少し、湿潤ストレス、熱ストレス、光ストレス下におけるHTMの構造完全性が向上する。我々は、HTMとしてDDT処理したspiro-OMeTADを用いてペロブスカイト太陽電池を作製した。今回の最良のデバイスは、23.1%の認証電力変換効率を示している。さらに、このデバイスは、1000時間にわたる連続照射の下でピーク性能の90%を維持している。今回の知見は、ドープspiro-OMeTADの作製だけでなく、信頼性の高い応用や今後のデバイス商業化における重要な一歩前進である。

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