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シリコンバンドギャップ未満からの近赤外光の光化学的アップコンバージョン

Nature Photonics 14, 9 doi: 10.1038/s41566-020-0664-3

光化学的アップコンバージョンは、赤外光をより高いエネルギーの可視光に変換する手法であり、生体撮像や薬物送達から光起電力技術や光触媒反応まで、さまざまな応用が考えられる。近赤外域の光子エネルギーから光をアップコンバートする系は開発されているが、シリコンバンドギャップ未満からのアップコンバージョンには至っていない。今回我々は、シリコンバンドギャップ未満の光子を吸収して一重項酸素エネルギー未満のビオラントロン三重項状態に存在させるPbS半導体ナノ結晶増感剤を用いたアップコンバージョン組成を実証する。三重項状態ビオラントロン発色団は、2つの一重項酸素分子からエネルギー受け取った後、可視スペクトルで発光する。我々は、配位子として有機発色団をPbSナノ結晶に組み込んでエネルギー移動を向上させることによって、酸素がない場合に三重項–三重項消滅機構によってビオラントロンがアップコンバートすることを実証した。三重項–三重項相互作用への磁場の影響を利用することによって、この機構の変化が明らかになった。

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