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一対の可搬型光格子時計による一般相対性理論の検証

Nature Photonics 14, 7 doi: 10.1038/s41566-020-0619-8

アインシュタインの一般相対性理論によると、標高が低い場所よりも高い場所の方が時計の進みが速くなる。光時計は、安定性と精度(10−18レベル)が極めて高いため、1 cmの高低差の測定が可能になる。しかし、そうした最先端の時計は、条件の良い実験室でしか実証されていない。今回我々は、可搬型光格子時計を開発することによって、電波塔(東京スカイツリー)において18桁精度の周波数比較を実証している。電波塔が時計に悪条件を与えることで堅牢性が検証され、450 mの高低差を与えることで(1.4 ± 9.1) × 10−5の精度で重力赤方偏移が検証された。得られた結果は、地上での時計比較を1桁改善し、宇宙実験に匹敵する。今回の実証は、数センチメートルを分解する光時計が、活火山や地殻変動によって生じる重力ポテンシャルの時空間的変化のモニタリング、ジオイドの決定などの現場応用へ技術的に準備が整っていることを示しており、将来の社会に多大な影響を及ぼすと思われる。

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