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糖尿病/AI:1型糖尿病若年患者での自動化人工知能を用いた決定支援システムによるインスリン投与量最適化

Nature Medicine 26, 9 doi: 10.1038/s41591-020-1045-7

インスリンポンプと持続血糖モニタリングデバイスの採用は増えてきているが、ほとんどの1型糖尿病患者では目標とする血糖値が達成されていない。これは、臨床医がセンサー付きポンプの複雑なデータを解析するための専門知識や十分な時間を持てないために起きている可能性がある。我々は、自動化された人工知能を使った意思決定支援システム(AI-DSS)によって導かれる頻繁なインスリン投与量調節が、グルコースレベルの制御については、医師による指導よりも効果的で安全であるかを検討した。ADVICE4Uは、多国籍多施設での並行群間無作為化比較による非劣性試験であり、インスリンポンプ療法を使っている10~21歳の1型糖尿病患者108人を対象に6か月にわたって行われた(ClinicalTrials.gov no. NCT03003806)。参加者は1:1に無作為に分けられ、3週間ごとにAI-DSS(AI-DSS群、n = 54)あるいは医師(医師群、n = 54)の指導によるインスリン投与量遠隔調節を受けた。主要評価項目の算定は、目標グルコース範囲〔70~180 mg/dl(3.9~10.0 mmol/l)〕内で経過した時間の割合とし、AI-DSS群での結果は、医師群のそれと比較して統計的に非劣性だった(AI-DSS群50.2 ± 11.1%に対して医師群51.6 ± 11.3%、P < 1 × 10−7)。AI-DSS群内での54 mg/dl未満(< 3.0 mmol/l)の測定値の割合は、医師群と比べると非劣性だった(AI-DSS群内1.3 ± 1.4%、医師群1.0 ± 0.9%、P < 0.0001)。糖尿病に関係する重篤な有害事象は、医師群では3例(重篤な低血糖症2例、糖尿病性ケトアシドーシス1例)報告されたが、AI-DSS群では報告されなかった。まとめると、自動化された意思決定支援手段を用いたインスリンポンプ設定の最適化は、糖尿病を専門とする研究センターの医師が行う集中的なインスリン滴定に対して非劣性であると、我々は結論する。

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