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機械学習:外傷ストレスによる救急科入院後の心的外傷後ストレスの経過を予測するアルゴリズムの検証

Nature Medicine 26, 7 doi: 10.1038/s41591-020-0951-z

衝撃的な事象を経験した後に救急科(ED)から退院する患者の数は、毎年約3000万人に上る。これらの患者はかなりの精神的リスクを抱えており、約10~20%が、不安、うつ、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの障害を1つ以上発症する。外傷後のED入院の際にPTSD症状の発生を正確に予測する方法は、現在のところ存在しない。ED施設による治療の時点で正確なリスクを突き止めることは、リスクの高い集団において、その後の精神病理的症状を軽減する目的で、既存の治療法を標的を定めて行うことを知らせるために必要である。本論文では、心的外傷後ストレスの12か月にわたる経過を予測するアルゴリズムを開発し、別々に集められた2つの前向きコホートを用いて検証を行ったことを報告する。これらのコホートは、2つのレベル1緊急外傷センターからの外傷後生存者からなり、このアルゴリズムでは、患者の即時のストレス反応についての簡単な臨床評価と共に、電子カルテから日常的に収集できるデータが使われている。得られた結果は、PTSDリスクを高精度で識別するための外部検証された正確度を実証している。この予測アルゴリズムを用いて、ED患者の2つの独立した前向きコホートで再現性のある有用な結果が得られたが、今後の研究では、日常的な医療の状況下で広範囲にわたる臨床的に不均一なED集団に向けた一般化可能性を拡大すべきであろう。

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