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深層学習:深層ニューラルネットワークを用いて12誘導心電図の電位データから死亡率を予測する

Nature Medicine 26, 6 doi: 10.1038/s41591-020-0870-z

心電図(ECG)は広く使われている医学的検査法であり、心臓活動を体表を介して測定し、電位変化を時間に対して記録したものである。我々は、深層ニューラルネットワーク(DNN)を使えば、ECGの電位–時間記録から、今後起こり得る重要な臨床事象である1年後の全死因死亡率を予測できるのではないかと考えた。大規模な地域医療保険システムで34年間にわたって収集されたECGを用いることで、25万3397人の患者(9万9371件の死亡事象が起こった)から得た116万9662の12誘導安静時ECGを使ってDNNを訓練した。このモデルは、16万8914人の患者(1万4207件の死亡事象が起こった)のホールドアウト法テストセットについて曲線下面積(AUC)0.88を達成した。医師によって「正常」と判断されたECG患者の大規模なサブセット(n = 4万5285)でも、このモデルの1年後死亡率を予測する成績は高かった(AUC = 0.85)。心臓専門医の盲検調査によって、これらの正常なECGを識別する特徴の多くは専門医にもはっきり分かるものではないことが実証された。さらに、コックス比例ハザードモデルから、2つの予測群(ECG測定1年後の死亡対生存)のハザード比は、25年の追跡期間にわたって9.5(P < 0.005)であることが明らかになった。これらの結果から、医師が正常と判断した場合でも、ディープラーニングによって12誘導安静時ECGの解釈にかなりの予後情報を追加できることが示された。

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