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疼痛:侵害受容器で発現するが、ミクログリアでは発現の見られないμオピオイド受容体シグナル伝達の消失は鎮痛効果を阻害することなくモルヒネ耐性を抑制する

Nature Medicine 23, 2 doi: 10.1038/nm.4262

オピオイド鎮痛薬には、鎮痛耐性、オピオイド誘導痛覚過敏(OIH)などの有害な副作用がある。耐性とOIHはオピオイドの鎮痛作用を相殺し、投与量を増加させる。オピオイドが作用してこれらの非適応的過程を引き起こす細胞種と受容体についてはまだ議論が続いており、オピオイドの鎮痛効果を最大にしてそれを維持できるようにする治療法の開発の妨げとなってきた。我々は、一次求心性侵害受容器で発現されるμオピオイド受容体(MOR)が、耐性とOIH発症を開始させることを見いだした。RNA-seqと組織学的解析により、MORは侵害受容器で発現するが、脊髄のミクログリアには発現しないことが明らかとなった。侵害受容器選択的にMORを欠損させると、モルヒネ耐性、OIH、痛覚惹起性シナプス長期増強が消失したが、抗侵害性作用には変化が見られなかった。さらに、周術期および慢性疼痛のモデルでは、モルヒネに加えて末梢限定のMOR拮抗薬である臭化メチルナルトレキソンを共投与するだけで、鎮痛効果を減弱させることなくモルヒネ耐性とOIHを消失させるのに十分であることが分かった。総合すると、我々の結果はオピオイドアゴニストと末梢性MORアンタゴニストの併用は鎮痛耐性とOIHを制限し得るという考えを裏付けている。

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