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多発性硬化症:多発性硬化症と実験的脳脊髄炎で1型および17型ヘルパーT細胞はインターフェロンβの有効性を決定する

Nature Medicine 16, 4 doi: 10.1038/nm.2110

インターフェロンβ(IFN-β)は、多発性硬化症の主な治療薬である。しかしながら、この治療は必ず効果を発揮するとは限らない。我々は、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)と再発寛解型多発性硬化症(RRMS)で、IFN-βに対する応答結果に一定の傾向を見いだした。IFN-βは、1型ヘルパーT(TH1)細胞によって誘導されるEAEの症状を軽減する効果があったが、TH17細胞により誘導された症状は増悪させた。TH1誘導性EAEでの治療の有効性は、脾臓細胞によるインターロイキン10(IL-10)の産生増加と相関していた。TH17誘導性疾患では、IL-10の量は治療によって変化しなかった。しかし意外にも、IFN-β治療によってIL-17産生は減少したが、有益な影響はなかった。IL-17の阻害とIL-10の誘導は両方ともIFN-γに依存していた。IFN-γシグナル伝達が起こっていない場合は、IFN-β療法はEAEに効果がなかった。RRMS患者では、IFN-β非応答性の患者は、応答性の患者に比べて血清中のIL-17F濃度が高かった。IFN-β非応答性の患者は、応答性の患者よりもステロイドの使用頻度と再発が多いという、より重い病状を示した。したがってIFN-βは、TH17誘導性EAEでは炎症を誘発する。また、RRMS患者の血清中の高いIL-17F濃度は、IFN-β療法に対する非応答性と関連している。

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