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動脈硬化:血管平滑筋細胞のアポトーシスはアテローム性動脈硬化におけるプラーク脆弱性の特徴を誘導する

Nature Medicine 12, 9 doi: 10.1038/nm1459

血管平滑筋細胞(VSMC)のアポトーシスは、動脈瘤形成、血管形成術後の再狭窄、アテローム性動脈硬化などの多くの動脈疾患で認められる。VSMCのアポトーシスは、血管リモデリング、血液凝固、炎症を促すが、上記のような疾患に対して正確にどのように寄与するのかは、アポトーシスが血管損傷や血流変化と同時に起こることが多いために解明されていない。VSMCのアポトーシスの直接的な影響を調べるために、ヒトジフテリア毒素受容体(HBEGFにコードされるhDTR)を最小Tagln(別名SM22α)プロモーターの下で発現するトランスジェニックマウスを作製した。50〜70%のVSMCが失われるようなアポトーシスが起こっても、正常な動脈では炎症、反応性増殖、血栓、リモデリング、動脈瘤形成はみられなかった。これとは対照的に、SM22α-hDTRApoe-/-マウスのアテローム性動脈硬化斑では、VSMCのアポトーシスによって繊維性皮膜の著しい薄化、コラーゲンおよびマトリックスの減少、細胞破片の蓄積、脈管内膜の強い炎症が誘導された。我々は、VSMCのアポトーシスは細胞減少に対する抵抗性が十分大きい正常動脈では「症状を呈しない」と結論する。一方アテローム性動脈硬化では、VSMCのアポトーシスだけでプラーク脆弱性の特徴を誘発するのに十分である。SM22α-hDTR Apoe-/-マウスは、アテローム性動脈硬化斑を安定化すると考えられている薬剤を検討するための新しい重要なモデルとなる可能性がある。

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