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動脈硬化症:コネキシン37は単球の接着を調節することでアテローム性動脈硬化症を防止する

Nature Medicine 12, 8 doi: 10.1038/nm1441

コネキシン37(CX37)をコードするヒト遺伝子GJA4(別名CX37)における遺伝的多型は、アテローム性動脈硬化症の予後マーカーとなる可能性が報告されている。マウスおよびヒトの動脈硬化病変では、このギャップ結合タンパク質の発現が変化している。CX37は進行したプラークの内皮にはみられないが、病変部に集まったマクロファージで検出される。しかし、CX37のアテローム発生における役割は不明である。今回、マウスのコネキシン37(Cx37)遺伝子(Gja4、別名Cx37)の欠失が、アテローム性動脈硬化症に及ぼす作用をこの疾患のモデル動物であるアポリポタンパク質E欠損(Apoe-/-)マウスで調べた。Gja4-/-Apoe-/-マウスでは、Cx37を発現するGja4+/+ Apoe-/-マウスより多くの動脈硬化病変がみられた。in vivo養子移入により、単球およびマクロファージの移動・集合は、この2種の白血球でCx37の発現を除去すると促進されるが、内皮細胞におけるCx37発現を消失させても促進されないことが示された。また、初代培養の単球、マクロファージ、マクロファージ細胞株(H36.12j)におけるCx37ヘミチャネル活性が白血球接着を阻害することもわかった。この抗接着作用には、細胞外へのATPの放出が関与する。したがってCx37ヘミチャネルは、単球接着を調節することでアテローム性動脈硬化斑の形成開始を制御している可能性がある。また、ヒトのGJA4遺伝子の多型にコードされる2種類のCX37タンパク質のいずれかを発現するH36.12jマクロファージは、ATP依存性の接着に違いが認められた。これらの結果から、CX37の多型がアテローム性動脈硬化症を防ぐ機構が考えられる。

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