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糖尿病:IKK-βは炎症と肥満によるインスリン抵抗性とを関連づける

Nature Medicine 11, 2 doi: 10.1038/nm1185

代謝疾患であるインスリン抵抗性や2型糖尿病の根底には炎症が関与すると考えられている。IκBキナーゼβ(IKK-β、Ikbkb遺伝子にコードされる)は、NF-κBの活性化を介して働く、主要な炎症反応調節因子である。インスリン抵抗性におけるIKK-βの役割を解明するために、我々は肝細胞でIKK-βが欠損しているマウス(IkbkbΔhep)あるいは骨髄系細胞で欠損しているマウス(IkbkbΔmye)を用いた。IkbkbΔhepマウスは、肝におけるインスリン反応性は保たれていたが、高脂肪食、肥満、加齢に対して筋肉および脂肪でインスリン抵抗性を示した。これとは対照的に、IkbkbΔmyeマウスは、全身的にインスリン感受性が保たれており、インスリン抵抗性から守られていた。したがって、IKK-βは肝では局所的に作用し、骨髄系細胞においては全身的に作用し、これらの細胞ではNF-κB活性化により炎症性物質が産生されてインスリン抵抗性が惹起される。これらの知見は、肝のインスリン抵抗性における肝細胞IKK-βの重要性と、全身的なインスリン抵抗性進展における骨髄系細胞の重要な役割を実証するものである。我々は、IKK-βの阻害、特に骨髄系細胞における阻害はインスリン抵抗性の治療に利用できる可能性があると考える。

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