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骨髄由来造血細胞は分化転換ではなく細胞融合によって心筋細胞を低頻度で生成する

Nature Medicine 10, 5 doi: 10.1038/nm1040

最近の研究では、骨髄細胞が、従来考えられていたよりもずっと広範囲の分化能をもつことが示唆されている。報告されている分化の可塑性の効率は、ほとんどの場合かなり低く、少なくともいくつかの可塑性は細胞融合によるものである。一方、心筋梗塞後に、骨髄細胞が分化転換によって心筋細胞を広範囲に再生することが示唆されている。骨髄由来細胞は、すでに臨床試験に使用されているが、梗塞を起こした心筋における骨髄由来細胞の正確な同定、寿命、運命については詳しく調べられていない。今回、さまざまな方法で急性の心筋傷害を誘導し、遺伝子導入により標識をほどこした骨髄細胞をその傷害心筋に導入した。本論文では、未分画の骨髄細胞ならびに精製した造血幹細胞および造血前駆細胞の集団が梗塞心筋内に効率的に生着することを示す。しかし、生着は一過性であり、生着していたのは造血系細胞であった。これに対して、梗塞心筋の外側では骨髄由来の心筋細胞が低頻度で観察され、そのすべてが細胞融合に由来する細胞であった。

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