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糖尿病:ZnT8の機能消失によってインスリン分泌が亢進し、糖尿病に防護的に働く

Nature Genetics 51, 11 doi: 10.1038/s41588-019-0513-9

SLC30A8遺伝子は亜鉛トランスポーター8(ZnT8)をコードしている。この遺伝子に見られるまれな機能喪失性対立遺伝子、p.Arg138*は、かつての西フィンランド州に多く見つかり、2型糖尿病(T2D)の発症リスクを低下させている。今回、p.Arg138*を持つ患者の血縁者を集めて調べたところ、p.Arg138*に起因する発症リスクの低下が、膵β細胞のグルコース応答性およびプロインスリンのインスリンへの転換が高進したことによるインスリン分泌量の増大に関連することを示した。この関連は、特に、SLC30A8遺伝子に含まれるT2D発症リスクのありふれた対立遺伝子であるp.Arg325を持つ人と比べたときに明らかである。ゲノム編集済みのヒト人工多能性幹細胞(iPSC)由来のβ細胞類似細胞を用いて調べた結果、p.Arg138*対立遺伝子は、ハプロ不全によりSLC30A8の発現を減少させることを見いだした。ヒトβ細胞におけるSLC30A8の欠失は、グルコース応答性の上昇とKATPチャネル機能の低下をもたらし、これはT2Dの防御的対立遺伝子であるp.Trp325を持つ人から単離した膵島と同様の効果である。以上の事実は、ZnT8をT2Dにおけるインスリン分泌能の維持を目的とした治療の魅力的な標的として位置付けるものである。

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