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オオムギ:地理的に多様な在来および野生のオオムギのエキソーム配列解読が環境適応に関する洞察をもたらす

Nature Genetics 48, 9 doi: 10.1038/ng.3612

オオムギは、栽培化された後、広範囲に広がる過程で、さまざまな農業的環境に適応してきた。我々は、オオムギが遭遇した環境的課題に対してオオムギゲノムがどのように応答したのかを探るため、地理情報付きで登録されている267種類の在来種および野生種のコレクションについて、エキソーム塩基配列決定を行った。ゲノムワイドな解析の組み合わせにより、多様性のパターンが地理的要因によって形成される度合いが非常に強いこと、そして、我々のデータセットでは、個々の遺伝子について、環境に依存するバリアントの関係が顕著に見られたことが明らかになった。共通圃場実験では、到穂(到花)日数および草丈に季節的な気温および乾燥度の変数との有意な相関が認められ、試料とした植物生殖質ではそうした形質が環境適応の重要な促進要因であったことが示唆された。既知の開花関連遺伝子を詳細に解析した結果、多くが大規模な配列多様性を有していること、ならびに単一および複数遺伝子のハプロタイプのパターンが強い地理的構造を示すことが分かった。この多様性は生育範囲全体にわたる生態地理的適応に大きく寄与したと考えられるが、地域での定着に重要な要因の多くは明らかにされていない。

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