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100歳以上の高齢者100人のゲノム解読を競うコンテストが開催

Nature ダイジェスト Vol. 9 No. 10 | doi : 10.1038/ndigest.2012.121011

原文:Nature (2012-07-26) | doi: 10.1038/487417a | Contest to sequence centenarians kicks off

Monya Baker

このコンテストでは、ゲノム配列解読の技術、精度、コストが競われる。

2013年9月、Xプライズ財団(米国カリフォルニア州プラヤビスタ)により、ゲノム解読技術と精度の向上およびコストの削減をめざした、「Archon Genomics X Prize」コンテストが開催される。100歳以上の高齢者100人のゲノム配列を、1人当たり1000ドル(8万円)以下のコストで、30日以内に最も正確に解読したチームに、1000万ドル(8億円)の賞金が授与される。Xプライズ財団の最高経営責任者Peter Diamandisは、このコンテストが、患者の診断あるいは治療に必要な、「医療グレード」ゲノムの基準の確立に役立つだろうと言う。

このコンテストは2013年5月までエントリー可能で、主催者はこのコンテストが過去のものより盛況となることを期待している。2006年のコンテストでは、参加チームはあったものの、賞の獲得には至らなかった。

今回、Xプライズ財団は、2006年のコンテストで10日間だった解読期限を、30日間と緩和し、解読の対象は100歳以上の高齢者(長寿にかかわる遺伝的変化を持つ可能性がある)に限定した。コンテストの勝者は初めて、100人すべての全ゲノム配列の98%の領域を、100万塩基対当たり1個未満の誤差で解読する、ということになる。なお、このコンテストの基準を完全に満たすチームがなかった場合でも、最優秀賞が用意されている。「すべての基準を満たすチームが現れたら驚きだ」と、Bio-IT Worldの編集長で、The $1000 Genome(Free Press、2010年発行)の著者であるKavin Daviesは言う。

2012年7月23日、ライフテクノロジーズ(米国カリフォルニア州カールスバッド)のIon Torrentは、自社の半導体を基盤とする技術を引っ提げて、このコンテストへのエントリーを発表した。彼は、自分たちの半導体技術が勝利すると確信している。伸長中のDNA鎖では、特定の塩基が付加されるたびにpHがわずかに変化するが、彼らの技術はその変化を測定するのだ。配列解読技術のほとんどは、塩基が取り込まれる時に放出される光を検出するため、光学装置を組み込む必要があり、コストがかさむ。

Daviesは、このコンテストでは、オックスフォードナノポアテクノロジーズ(英国オックスフォード)がライバルになる可能性があると考えている。この会社は、ナノメートルスケールの穴にDNA鎖を通し、穴を通過していく各塩基を解読するという技術を持っている。ただ、オックスフォードナノポアテクノロジーズをはじめとして、そのほかの配列解読受託会社が、このコンテストにエントリーするかどうかは未定だ。

Craig Venterは、このコンテストの主要な課題は、解読技術ではなく、ゲノム配列が生物学や医学にとってどのような意味を持つかを理解することだと言う。「解決すべき難しい問題の中で、解読技術の問題はささいなものです」とVenterは言う。「優良な技術は確かに必要ですが、それだけでは十分ではありません」。

(翻訳:三谷祐貴子、要約:編集部)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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