2026年7月号Volume 23 Number 7
細胞の時間は巻き戻せるのか
細胞を完全な幹細胞に戻すのではなく、元の性質を保ったまま若い状態へ近づける。部分的な再プログラム化と呼ばれるこの手法は、老化した網膜神経や器官の再生を目指す新しい分野として注目されている。若返り医療は実現するのだろうか。
Editorial
Research Highlights
リサーチハイライト
「温暖化した海が猛烈なスーパーサイクロンを生む」「女性は老化で自己免疫疾患リスクが高まる」「電気自動車が電力網の危機を救う可能性」「トラブルを嗅ぎ分ける:ウイルスを記憶する鼻腔内の細胞」、他。
News in Focus
過去11年は観測史上最高温に ― 次に起こることは?
地球のエネルギー収支の測定により、地球の気候はますます不均衡に陥っていることが明らかになった。
放射線科医さえ判別不能なAI生成X線画像
本物の医療画像とAI生成画像の識別は、放射線科医でも大規模言語モデルでも難しい。
CERN構内で反物質のトラック輸送に成功
地球上で最も高価で最も不安定な存在である反物質の輸送に、物理学者らが史上初めて成功した。
量子計算の躍進で迫るセキュリティー危機
2つの分析によると、量子コンピューターは2030年までに、広く普及しているセキュリティーキーを解読できるようになるかもしれないという。
抗ファージタンパク質の「宝の山」が見つかった
細菌が持つ抗ファージ防御タンパク質のデータベースが、強力なバイオテクノロジー技術の開発を刺激するかもしれない。
がんの最も致死的な変異の1つを標的とする新薬
KRASタンパク質の変異は、かつては「アンドラッガブル」と考えられていた。
脳の機能的結合を生涯にわたって描いたアトラス
3500人以上の脳スキャンデータから、協調して働く脳領域のパターンが、出生後から100歳までにどのように変化するかが明らかになった。
重力定数の10年に及ぶ測定実験が終了して深まった謎
重力定数は自然界の基礎定数の中でも測定が特に困難なことで知られる。物理学者らは10年に及ぶ高精度測定に挑んできたが、問題解決には至らなかった。
中国が技術・AI分野で世界の主導国を目指す動きを強化
中国の新5カ年計画は、自国の自立の達成に向けて、より独創的な科学研究を強化するよう求めている。
Features
皮膚科学が教えるスキンケアの正解
スキンケアに複雑な手順や高価なスキンケア製品は不要である。皮膚科学は奥深いが、正しいケアはシンプルだ。
深刻化する幻覚引用問題
Natureの分析により、2025年の出版物の数万件に、AIによって生成された無効な参考文献が含まれている可能性があることが分かった。
細胞の部分的再プログラム化で、老化した器官は若返るか?
急成長している若返り研究の分野で、発達を逆戻りさせることにより、老化した器官を安全に再生できるかどうかを検証する初の臨床試験が始まった。
高まるAI脅威論に現実味はあるか?
「AIは人類を滅ぼすかもしれない」と警鐘を鳴らす研究者が増えているが、破滅を警告すること自体にもリスクがある。
タンパク質が量子センサーに
蛍光タンパク質から作られた量子センサーは微弱な磁場を検知し、私たちがこれまで見たことのないような細胞内部の眺めを見せてくれるかもしれない。
Japanese Author
Free access
クローン動物からクローンを作り続けることはできなかった!
山梨大学の若山照彦教授は、2005年より「クローン動物からクローン動物を作り続けることはできるのか?」という問いを20年にわたり追い続け、再クローニングには限界があることを突き止めた。
News & Views
スマートウォッチのデータでインスリン抵抗性の早期兆候を捉える
ウエアラブル端末から得られる連続データのパターンによって、通常の臨床検査で検出されるはるか前に、初期の代謝機能障害を明らかにできる可能性がある。
皮膚細胞は全身性の抗体応答を増強する
皮膚が免疫による防御を発揮する仕組みは完全には解明されていない。今回、皮膚細胞において、抗体の産生を促して全身を守る経路が見つかった。
卓球で一流選手に勝利できる自律型ロボット
人工知能(AI)制御の卓球ロボット「Ace」の開発によって、自律システムが、複雑でテンポの速いインタラクティブなタスクにおいて人間と互角に競い合えることが示された。
壊れるよりも速い量子もつれ生成を10 kmの光ファイバーで達成
長さ10 kmの光ファイバーで連結されたイオン間の量子もつれが生成された。これは大規模な量子通信ネットワークへの一歩だ。
鋏角類の起源を明らかにする化石
鋏角類は、頭部前方にはさみ状の付属肢を持つ節足動物の一群である。今回、カンブリア紀の鋏角類化石の発見によって、この動物群の起源と初期進化について手掛かりが得られた。
Advances
地震の意外な生命力
イエローストーンの地震が地下で微生物の急増を引き起こした。
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