2026年4月号Volume 23 Number 4
書き換えられる鳥類進化の物語
ジュラ紀の鳥類は1世紀以上にわたり、アーケオプテリクス(始祖鳥)しか知られていなかった。ところが最近、第二のジュラ紀鳥類バミノルニスが発見され、さらに、貴重なアーケオプテリクス標本が数十年の時を経て研究可能になったことで、鳥類の飛行能力の獲得時期が従来の想定より早かったことが明らかになり、鳥類進化の物語が書き換えられつつある。
Editorial
Research Highlights
リサーチハイライト
「ペットのウシが道具の使用を習得」「主星に極めて近くても意外に涼しい系外惑星」「『人間らしさ』の起源に疑問を投げ掛ける遺伝的バリアント」「お熱いのがお好き:花粉媒介者を温かく歓迎する植物」、他。
News in Focus
目覚ましい進化を遂げている人型ロボットの実用性は?
中国の工場では人型ロボットの導入が始まっているが、多くの作業には依然として人間のオペレーターが必要だ。
大規模な細胞アトラスが明かした免疫の驚くべき多様性
中国人コホートの免疫細胞に関する機能アトラスにより、欧州や日本人の集団のデータセットとの決定的な違いが浮き彫りになった。
中国の核融合炉がプラズマ密度の限界を突破
科学者らは核融合炉のプラズマ密度の経験的な限界を突破し、実用的な核融合炉に一歩近づいた。
第2次トランプ政権と米国科学の2026年
米国議会の支援により連邦科学予算の見通しは明るくなったが、研究資金の使途については、政治任用者が大きな発言力を持つことになる可能性が高い。
がんがミトコンドリアを盗んで免疫防御を回避
腫瘍は、免疫細胞のミトコンドリアを乗っ取ることで、リンパ節に浸潤しやすくなるらしいことがマウスの実験で分かった。
「やる気が出ない」を説明する脳回路
京都大学の研究チームが、サルにおいて、動機付けにブレーキをかける脳経路を操作する方法を突き止めた。
AIで研究の時間と費用を節約する代償は?
AI技術は研究者の生産性を押し上げているが、AIへの依存が強まることを懸念する声もある。
インフルエンザ急増の背景に高変異株
今冬のインフルエンザ急増は、ここ数年の流行では優勢でなかった株の変異が一因である。
既知最古の毒矢が示す石器時代人類の才能
6万年前の矢尻から検出された有毒化学物質の痕跡は、狩猟民の高度な計画能力をうかがわせる。
博士課程学生のリスク志向性に指導教員が及ぼす影響
学生が指導教員から学んだリスクテイク行動は、研究室を離れた後も長期にわたって持続する。
Features
鳥類はどのように進化したのか?
ジュラ紀の鳥類化石における新たな発見の数々によって、飛行能力の獲得時期が従来の想定より早かったことが明らかになり、鳥類進化の物語が書き換えられつつある。
感染症の不思議
感染症によって重篤な症状が生じる人がいる一方で、ほんのわずかな鼻水しか出ない人がいるのは、なぜだろうか?
女児の思春期開始が早まっているのはなぜか
8歳以下で思春期を迎える女児が増加している。その原因と結果、そして必要な対策が検討されている。
Japanese Author
Free access
がん免疫の制御の概念を免疫精密医療へと橋渡しする
西川博嘉 国立がん研究センター研究所分野長は、腸内細菌が樹状細胞を腫瘍所属リンパ節と腫瘍微小環境へと移動させ、PD-1阻害療法への反応性に関与していることを突き止めた。師たちから継いだ免疫学の知見、自ら磨いた手技を武器に、免疫精密医療の臨床実装を目指す。
News & Views
痛みの感覚的側面と感情的側面を分離
痛みに伴う感情的苦痛に関与するニューロンが特定され、オピオイド系薬剤を使わずに苦痛を和らげる遺伝的手法の開発が始まっている。
物質波干渉をこれまでで最もマクロな物体で観測
物質波(ド・ブロイ波)干渉が観測された物体の質量と「大きさ」の記録が新たな実験で破られた。この結果は、量子重ね合わせを示す物体の大きさの限界についての議論を活発化させるだろう。
絶食が乳がん治療を強化する仕組み
絶食がなぜ乳がんの内分泌療法の効果を高めるのか。マウスを用いた発見により、ホルモンのシグナル伝達経路と遺伝子発現の変化が重要な役割を担っていることが明らかになった。
タコの擬態術を模倣した人工皮膚
今回、色調とテクスチャーを制御可能な「フォトニックスキン」が開発されたことで、材料科学分野は、自然界に見られる適応型カモフラージュの実現に一歩近づいた。
Advances
一酸化炭素中毒に新解毒剤
実験的タンパク質は、一酸化炭素が赤血球と結び付く前に吸収する。
種の壁を越えた会話
危険な敵を避けるため、異種の動物が鳴き声で“会話”している。
Where I Work
Rassina Farassi
Rassina Farassiは、ゴロンゴサ国立公園(モザンビーク)の古霊長類プロジェクトの霊長類学者。
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