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安定な可搬型光原子時計の開発と試験

精密な計時は、安全で効率的な海上移動に不可欠である。多くの船舶には、原子時計というデバイスが備えられており、原子時計は、航行や通信、海洋・地質学研究における科学的発見に役立つ。高性能原子時計を船舶に搭載できれば、海上計時の信頼性と精度を向上させることができるが、高性能原子時計の多くは大型で、船舶に搭載することができない。このたびVector Atomic社(米国カリフォルニア州)のJonathan D. Roslundら1は、最も優れた市販の原子時計2に匹敵する性能を示す上、はるかに小型のヨウ素ベースの原子時計を開発し、海上試験を実施したことを、Nature 2024年4月25日号736ページで報告した。今回の研究は、ヨウ素時計が小型で、環境変化に対して鈍感であるため、さまざまな用途において非常に正確な計時をもたらし得ることを実証している。

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翻訳:藤野正美

Nature ダイジェスト Vol. 21 No. 7

DOI: 10.1038/ndigest.2024.240747

原文

Robust optical clocks promise stable timing in a portable package
  • Nature (2024-04-25) | DOI: 10.1038/d41586-024-01022-7
  • Bonnie L. S. Marlow & Jonathan Hirschauer
  • 共にMITRE Corporation(米国バージニア州)に所属。

参考文献

  1. Roslund, J. D. et al. Nature 628, 736–740 (2024).
  2. Marlow, B. L. S. & Scherer, D. R. IEEE Trans. Ultrason. Ferroelectr. Freq. Control 68, 2007–2022 (2021).
  3. Fortier, T. & Baumann, E. Commun. Phys. 2, 153 (2019).
  4. Bothwell, T. et al. Nature 602, 420–424 (2022).