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多層グラフェンで観測された電子の奇妙な振る舞い
2023年5月、ワシントン大学(米国シアトル)の物性物理学者Xiaodong Xuが率いる研究チームが、ある奇妙な現象を観測した。原子レベルの薄さの二次元(2D)材料である二テルル化モリブデン(MoTe2)のシートを2枚重ねて電流を流したところ、電子が協調して、分数電荷を持つ粒子のように振る舞ったのだ。抵抗測定の結果、この材料中の電子は、通常の−1の電荷ではなく、例えば−2/3や−3/5の電荷を持つ粒子と同様に振る舞うことが分かった。実に奇妙なのは、この現象を促すような外部磁場は一切印加しておらず、この振る舞いが完全に材料固有の特性に起因するものであることだった。この結果は、同年8月1日にNatureで先行発表された(後に2023年10月5日号74ページに掲載)1。
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翻訳:藤野正美
Nature ダイジェスト Vol. 21 No. 7
DOI: 10.1038/ndigest.2024.240718
原文
Weird new electron behaviour in stacked graphene thrills physicists- Nature (2024-03-25) | DOI: 10.1038/d41586-024-00832-z
- Dan Garisto
参考文献
- Park, H. et al. Nature 622, 74–79 (2023).
- Lu, Z. et al. Nature 626, 759–764 (2024).
- Chang, C.-Z. et al. Science 340, 167–170 (2013).
- Xu, F. et al. Phys. Rev. X 13, 031037 (2023).
- Dong, J. et al. Preprint at arXiv https://doi.org/10.48550/arXiv.2311.05568 (2023).
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