News & Views

骨髄での造血を画像化

骨髄の光学顕微鏡写真
大きな青色の部分は巨核球で血小板を形成する。濃い紫色の部分は赤芽球島で赤血球を形成する。薄い紫色の部分は顆粒球島で白血球を形成する。呉と張ら1は、骨髄において、さまざまな段階の造血の様子を画像化することに成功した。 Credit: Steve Gschmeissner/Science Photo Library/Getty

血液細胞は生涯にわたって絶えず更新されている。哺乳類の成体では、血液細胞は、体のほとんどの骨に見られる骨髄という半固体の組織で産生される。この過程は造血と呼ばれる。造血は、ストレスや感染などの問題に対処し容易に適応できる動的な過程である。従って、骨髄も動的である必要があり、組織内には異なる発生段階にあるさまざまな細胞が存在し、血液の恒常性維持のため、血流へ放出されるのに備えている。このように骨髄は半固体かつ非常に動的という性質であるが故に、骨髄で細胞がどのように構成されているかを明らかにすることや、単一細胞レベルで血液細胞の産生を解明することは難しかった。このほどシンシナティ小児病院医療センター(米国オハイオ州)の呉清清(Qingqing Wu)と張済舟(Jizhou Zhang)ら1は、強力な画像化方法を開発して、マウス骨格のあらゆる部位で造血のさまざまな段階を視覚化することに成功し、Nature 2024年3月28日号839ページに報告している。

全文を読むには購読する必要があります。既に購読されている方は下記よりログインしてください。

翻訳:三谷祐貴子

Nature ダイジェスト Vol. 21 No. 6

DOI: 10.1038/ndigest.2024.240646

原文

Powerful microscopy reveals blood-cell production in bone marrow
  • Nature (2024-03-28) | DOI: 10.1038/d41586-024-00504-y
  • M. Carolina Florian
  • ベルヴィージェ生物医学研究所(IDIBELL)および カタルーニャ高等研究所(共にスペイン・バルセロナ)に所属。

参考文献

  1. Wu, Q. et al. Nature 627, 839–846 (2024).
  2. Zhang, J. et al. Nature 590, 457–462 (2021).
  3. Matteini, F., Mulaw, M. A & Florian, M. C. Front. Immunol. 12, 738204 (2021).
  4. Grockowiak, E. et al. Nature Cancer 4, 1193–1209 (2023).