つわりは胎児が放出するホルモンと関係する
妊婦の約3分の2に吐き気とおう吐が報告されている1。たいていのつわりは軽度で一過性だが、中には持続的で重度の吐き気とおう吐に苦しむ女性もいて、深刻な健康問題となっている。妊娠悪阻(HG)として知られるこの症状は、妊婦の0.3~3%に見られ2、脱水、栄養不足、体重減少を引き起こすことがある。入院を余儀なくされることも多く、最悪のケースでは、妊娠の中止や母体の死亡につながることもある。妊娠中の過度のおう吐は何世紀にもわたって認識されてきたにもかかわらず3,4、HGの原因解明は進んでいない。このほど、ケンブリッジ大学およびNIHRケンブリッジ生物医学研究センター(英国)のStephen O'Rahillyらをはじめとする国際研究チーム5が、妊娠中のつわりとGDF15(growth differentiation factor 15)と呼ばれるホルモンに対する感受性との関連について、Nature 2024年1月25日号760ページで報告している。この発見は、HGの予防や治療を目的とした研究の可能性を開くものである。
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翻訳:古川奈々子
Nature ダイジェスト Vol. 21 No. 4
DOI: 10.1038/ndigest.2024.240441
原文
Nausea and vomiting in pregnancy linked to hormone from fetus- Nature (2024-01-25) | DOI: 10.1038/d41586-023-03940-4
- Alice E. Hughes & Rachel M. Freathy
- 共にエクセター大学(英国)に所属。
参考文献
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