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髪色を維持する幹細胞は上下に動いて分化のドグマに逆らう
メジャーリーガーのヨギ・ベラ(Yogi Berra)はかつてこう言った。「よく見れば、たくさん観察できる(You can observe a lot by watching.)」と。このほどニューヨーク大学医学系大学院(米国)の伊藤真由美(いとう・まゆみ)を中心とする研究チームは、この名言を徹底的に推し進めた。研究チームは、個々の毛包の単一のメラノサイト幹細胞(McSC、色素幹細胞とも呼ばれる)を2年間にわたって観察し、McSCが毛包で上下のニッチに揺れ動くという、成体幹細胞として独特な生活様式を持っていることを見いだした。また今回の成果から、白髪が老化の最も初期の兆候の1つである理由が説明される可能性がある。この研究成果はNature 2023年4月27日号774ページで発表された1。
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翻訳:三谷祐貴子
Nature ダイジェスト Vol. 20 No. 7
DOI: 10.1038/ndigest.2023.230746
原文
Yo-yoing stem cells defy differentiation dogma- Nature (2023-04-27) | DOI: 10.1038/d41586-023-00918-0
- Carlos Galvan & William E. Lowry
- 共にカリフォルニア大学ロサンゼルス校(米国)に所属
参考文献
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