Where I Work

Antonella Leone

Credit: Nature by ELISABETTA ZAVOLI

仕事をしていていちばん楽しいのは、イタリア沖の地中海でクラゲを採集しているときです。もちろん刺されることもあります。

地中海の水温が上昇したことで、沿岸のクラゲの個体数が増えています。私は2011年から、この資源の活用法を考えています。私のチームは、EUが出資する「ゴージェリー(GoJelly)」プロジェクトの一環として、2018年からクラゲの食用利用の可能性を評価しています。

毎年、夏になるとクラゲを採集します。通常は船の上から網で捕獲しますが、海に潜って、手網でじかに捕まえることもあります。写真はリゾストマ・パルモ(Rhizostoma pulmo)というクラゲです。私たちと泳ぐのはお気に召さなかったようですが、刺されても大したことはありません。

欧州では一般的に、クラゲを食品と見なすことはありませんが、東南アジアの人々は何千年も前からクラゲを食べています。クラゲの組織は崩れやすいため、アジアでは歴史的にミョウバンというアルミニウム塩で処理して固めています。問題は、この方法で処理すると、欧州の規則では許容されない量のアルミニウムが残存してしまうことです。

私たちは、クラゲを有機カルシウム塩で処理すると安全な食品になることを発見しました。クラゲが魚よりもサステナブルな食品としてお店などで提供されるようになってほしいと思っています。

ゴージェリーでは、クラゲから抽出した生理活性化合物をサプリメントや食品添加物、化粧品の材料、医薬品として利用する道も探っていて、リゾストマ・パルモから抽出した抗酸化作用や抗炎症作用を持つ生理活性ペプチドの研究もしています。

中国伝統医学では、クラゲは関節炎などの炎症性疾患に効果があると考えられています。抗炎症作用のある抽出物とクラゲの薬効との関連を科学的に証明するのが私の目標です。

クラゲの研究は非常に面白いですが、船で海に出て行う作業の楽しさには敵いません。クラゲは美しい動物です。波や潮流に乗って漂うだけのクラゲもいますが、リゾストマ・パルモは活動的で、とても優雅に泳ぎます。

翻訳:三枝小夜子

Nature ダイジェスト Vol. 20 No. 3

DOI: 10.1038/ndigest.2023.230352

原文

Braving stings to put jellyfish on the menu
  • Nature (2022-11-14) | DOI: 10.1038/d41586-022-03704-6
  • James Mitchell Crow