News & Views
腸内細菌が運動意欲を促進する
日常的な身体活動が、慢性疾患のリスクを下げ、認知機能を向上させ、総死亡率を低下させることが、数千もの研究により立証されている。健康増進に最も効果的なのは、長期的に繰り返し行われるトレーニングセッション形式の運動である1。運動が健康に良いということに疑う余地がないのなら、なぜ多くの人が座りっぱなしの生活をしているのだろうか? 運動に対する意欲の欠如や抵抗感が原因であることが多く、考え方を変えるだけで毎日運動するようになると指摘する人もいる2。しかし、ペンシルベニア大学(米国フィラデルフィア)、ゲーテ大学フランクフルトおよびLOEWE TBG(共にドイツ・フランクフルト)のLenka Dohnalováら3は、マウスにおいて、長時間の運動に対する意欲の向上は、脳だけではなく、実は腸内細菌の入力にも下支えされていることを、Nature 12月22/29日号の739ページで報告している。
全文を読むには購読する必要があります。既に購読されている方は下記よりログインしてください。
本サービスでは、サイトご利用時の利便性を向上させるためにCookiesを使用しています。詳しくは、シュプリンガーネイチャー・ジャパン株式会社の「プライバシー規約」をご覧下さい。
翻訳:古川奈々子
Nature ダイジェスト Vol. 20 No. 3
DOI: 10.1038/ndigest.2023.230343
原文
Gut microbes shape athletic motivation- Nature (2022-12-22) | DOI: 10.1038/d41586-022-04355-3
- Gulistan Agirman & Elaine Y. Hsiao
- 共にカリフォルニア大学ロサンゼルス校(米国)に所属
参考文献
- Warburton, D. E. R. & Bredin, S. S. D. Curr. Opin. Cardiol. 32, 541–556 (2017).
- Teixeira, P. J., Carraça, E. V., Markland, D., Silva, M. N. & Ryan, R. M. Int. J. Behav. Nutr. Phys. Act. 9, 78 (2012).
- Dohnalová, L. et al. Nature 612, 739–747 (2022).
- Cani, P. D., Van Hul, M., Lefort, C., Depommier, C., Rastelli, M. & Everard, A. et al. Nature Metab. 1, 34–46 (2019).
- Okamoto, T. et al. Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab. 316, E956–E966 (2019).
- Scheiman, J. et al. Nature Med. 25, 1104–1109 (2019).
- Wise, R. A. Nature Rev. Neurosci. 5, 483–494 (2004).
- Cryan, J. F. et al. Physiol. Rev. 99, 1877–2013 (2019).
- Chen, H. et al. Cell 177, 1217–1231 (2019).
関連記事
リサーチハイライト
2024年12月号
「脳時計」によって脳の老化を早める要因が明らかに
2024年12月号
クロマチンの動きをクライオ電顕で解く
2024年12月号
損傷部位との境界細胞が心破裂のリスクを上昇
2024年12月号
細孔によるタンパク質配列解読へ新たな一歩
2024年12月号
Advertisement