麻痺からの回復を助ける細胞を特定
脊髄損傷は、運動機能と感覚機能の喪失につながる可能性がある。運動機能の完全な回復は、いまだに達成しがたい目標ではあるが、リハビリテーション中に脊髄を電気刺激することで、完全麻痺(まひ)の患者であっても、運動機能の大幅な改善が可能になってきている1(2022年4月号「脊髄刺激は麻痺のある人々の歩行回復を助ける」参照)。Nature2022年11月17日号の540ページでは、スイス連邦工科大学ローザンヌ校、ローザンヌ大学病院、ローザンヌ大学(以上、スイス)のClaudia KatheとThomas H. Hutson、およびスイス連邦工科大学ローザンヌ校とブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ・バンクーバー)のMichael A. Skinniderら2が、運動機能改善の基礎となる神経メカニズムについて述べている。研究チームは、麻痺から回復中のマウスにおいて損傷した脊髄の詳細な分子マップを作成し、このマップを用いて、リハビリテーションに重要な役割を果たす細胞タイプを特定した。このような生物学的知見は、運動機能の完全な回復を達成するための重要なステップとなる。
全文を読むには購読する必要があります。既に購読されている方は下記よりログインしてください。
本サービスでは、サイトご利用時の利便性を向上させるためにCookiesを使用しています。詳しくは、シュプリンガーネイチャー・ジャパン株式会社の「プライバシー規約」をご覧下さい。
翻訳:古川奈々子
Nature ダイジェスト Vol. 20 No. 2
DOI: 10.1038/ndigest.2023.230246
原文
Neurons that promote recovery from paralysis identified- Nature (2022-11-17) | DOI: 10.1038/d41586-022-02234-5
- Kee Wui Huang & Eiman Azim
- 共にソーク生物学研究所(米国カリフォルニア州ラホヤ)に所属
参考文献
- Wagner, F. B. et al. Nature 563, 65–71 (2018).
- Kathe, C. et al. Nature 611, 540–547 (2022).
- Shealy, C. N., Mortimer, J. T. & Reswick, J. B. Anesth. Analg. 46, 489–491 (1967).
- Cook, A. W. Hosp. Pract. 11, 51–58 (1976).
- Harkema, S. et al. Lancet 377, 1938–1947 (2011).
- Edgerton, V. R. & Harkema, S. Expert Rev. Neurother. 11, 1351–1353 (2014).
- Rowald, A. et al. Nature Med. 28, 260–271 (2022).
- Formento, E. et al. Nature Neurosci. 21, 1728–1741 (2018).
- Takeoka, A. Neurosci. Res. 154, 1–8 (2020).
- Eisdorfer, J. T. et al. Front. Mol. Neurosci. 13, 163 (2020).
- Skinnider, M. A. et al. Nature Biotechnol. 39, 30–34 (2021).
- Kiehn, O. Nature Rev. Neurosci. 17, 224–238 (2016).
- Mich, J. K. et al. Cell Rep. 34, 108754 (2021).
関連記事
Advertisement