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貴ガスの化学の60年

Nature ダイジェスト Vol. 19 No. 9 | doi : 10.1038/ndigest.2022.220940

原文:Nature (2022-06-23) | doi: 10.1038/d41586-022-01534-0 | 60 years of chemistry of the noble gases

Felice Grandinetti

1960年代初頭、不可能と思われていたキセノンの化合物が初めて合成され、貴ガス元素の反応性の欠如に関する長年の神話が一掃された。この歴史的偉業によって大きく開かれた扉のその先で、貴ガス元素の豊かな化学についての研究は、今なお活発に続いている。

貴ガスの化学の創始者
貴ガスの反応を初めて成功させた際に用いた実験装置と共に写真に写るニール・バートレット1。1960年代、ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ・バンクーバー)にて。 | 拡大する

B. C. JENNINGS (UBC 41.1/1944-2)

1962年、ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ・バンクーバー)の化学者ニール・バートレット(Neil Bartlett)は、貴ガス元素のキセノン(Xe)を含む化合物を初めて合成し、Proceedings of the Chemical Societyで報告した1。この論文は半ページにも満たない短いものだったが、それまでの定説を覆す成果は科学史における画期的な出来事となり2、貴ガスの化学の真の幕開けを告げることとなった。バーネットのこの大発見によって、貴ガス元素の研究は合成化学の枠を超えて活発になり、それらの化学結合はもとより、異なる物質相における反応性や地球深部の化学にも光が当てられるようになった。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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