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新型コロナウイルス研究注目の論文(7月)

Nature ダイジェスト Vol. 17 No. 9 | doi : 10.1038/ndigest.2020.200918a

原文:Nature (2020-05-22) | doi: 10.1038/d41586-020-00502-w | Coronavirus research updates

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)と、その感染症であるCOVID-19に関する文献をNature が精査し、主要な論文をまとめた(2020年7月)。6月分はこちら

海外からの旅行者のためのコロナウイルス検疫センターとして転用されている太原(中国山西省)のホテルで、消毒薬を散布するスタッフ。 | 拡大する

Wei Liang/China News Service via Getty

7月30日

ワクチン候補がサルを感染から守った

実験的なコロナウイルスワクチンは、接種を受けたほとんどのサルにおいて、感染を完全に防いだようだ。

ヤンセン・ワクチン予防社(オランダ・ライデン)のHanneke Schuitemakerとベス・イスラエル・ディーコネス医療センター(米国マサチューセッツ州ボストン)のDan Barouchらは、32頭のアカゲザルに7種類のワクチンのうちいずれか1種類を単回投与した(N. B. Mercado et al. Nature http://doi.org/d5d4; 2020)。それぞれのワクチンは、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質の7種類のバリアントのうちのいずれか1つをコードする、弱毒化した呼吸器ウイルスからなる。

ワクチン接種後、ほとんど全てのサルが中和抗体(感染を阻止できる強力な免疫分子)と、他の免疫応答を誘発するT細胞を作った。このサルたちをSARS-CoV-2に曝露させると、最も強力なワクチンは、肺への感染が6頭中6頭で防がれ、鼻への感染は6頭中5頭で防がれた。

ワクチンの接種を受けた全てのサルにおいて、中和抗体の濃度はSARS-CoV-2感染からの保護と関連していたが、T細胞の濃度は感染からの保護に関連がなかった。

7月29日

ウイルスに対する免疫細胞が未感染者で発見される

SARS-CoV-2を攻撃するT細胞と呼ばれる免疫細胞は、COVID-19の患者だけでなく、SARS-CoV-2曝露の経験がない人々の一部にもあることが分かった。

SARS-CoV-2に対する免疫反応を調べている研究者たちは、当初は抗体と呼ばれる免疫分子に注目していたが、T細胞は免疫へのもう1つのルートを提供している。シャリテ・ベルリン医科大学(ドイツ)のAndreas Thielらは、血液検体中にSARS-CoV-2のスパイクタンパク質に反応するT細胞があるかどうかを調べた(J. Braun et al. Nature http://doi.org/d5bv; 2020)。

研究チームは、研究に参加したCOVID-19患者の83%と、SARS-CoV-2曝露歴のない健康な血液提供者の35%から、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質に反応するT細胞を発見した。著者らは、健康な血液提供者が持つこうしたT細胞は、関連するコロナウイルスに過去に感染した際に誘導されたのではないかと推測しているが、これらのT細胞がSARS-CoV-2からの保護を提供するかどうかは不明である。

7月28日

ウイルスは変異により抗体から逃れることができる

SARS-CoV-2の変異は、このウイルスが強力な免疫分子の裏をかくのを助ける可能性がある。

COVID-19から回復した多くの人の血液には、SARS-CoV-2粒子を無効化する中和抗体が含まれている。このような抗体のほとんどは、SARS-CoV-2が細胞に感染するために用いるスパイクタンパク質を認識する。研究者たちは、これらの分子を治療薬として使用したり、ワクチンで誘導したりできるようにしたいと考えている。

ロックフェラー大学(米国ニューヨーク市)の研究者Theodora HatziioannouとPaul Bieniaszらは、家畜に感染する水胞性口炎ウイルスを改変してSARS-CoV-2のスパイクタンパク質を作るようにさせた後、中和抗体の存在下でこのウイルスを増殖させた(Y. Weisblum et al. Preprint at bioRxiv http://doi.org/d439; 2020)。すると、改変ウイルスのスパイクタンパク質に変異が生じ、ウイルスはさまざまな中和抗体による認識を逃れることができた。

研究チームは、世界各地の感染者から採取したSARS-CoV-2検体からも、頻度は極めて低いものの、中和抗体による認識を逃れることのできる変異を発見した。著者らは、スパイクタンパク質の別々の部分を認識する複数の中和抗体からなる「治療薬カクテル」を用いることで、ウイルスがこれらの分子に対して耐性を獲得するのを防ぐことができると示唆している。なお、この知見はまだ査読を受けていない。

7月27日

中国のウイルス制御キャンペーンの威力は症状のパターンに表れている

中国では、COVID-19が発生してすぐに、発症間隔(serial interval)と呼ばれる伝染病の重要な指標が急激に小さくなった。これは中国の検査と隔離の取り組みが成功していることを強調する発見である。

発症間隔とは、特定の病原体に感染した人々の連鎖の中で、ある人が発症してから次の人が発症するまでの平均時間のことである。香港大学のBenjamin Cowlingらが中国におけるSARS-CoV-2の感染拡大をモデル化したところ、2020年1月9日からの5週間で発症間隔が7.8日から2.6日へと大幅に短縮したことを明らかにした(S. T. Ali et al. Science http://doi.org/gg5mpc; 2020)。

著者らは、患者を早期に隔離することで、隔離していなかったら感染期間の後期に起きていたはずの感染を防ぐことができ、これにより患者数を減らし、ウイルスの拡散を遅らせることができたと述べている。結果として、残りの感染のほとんどは、感染者が発症する前か症状が出てすぐの時期に発生し、発症間隔が狭まった。

著者らは、ウイルスの伝播性の変化を追跡するために、発症間隔の分布をリアルタイムで利用することを提案している。

イタリアで実施された検査により、イヌとネコのSARS-CoV-2への感染率はヒトに匹敵することが判明した。 | 拡大する

Fadel Senna/AFP/Getty

7月24日

イヌとネコの感染率はヒトの感染率を反映している

北イタリアで実施されたこれまでで最大規模のペットの調査によると、ネコやイヌもヒトと同じようにSARS-CoV-2に感染している可能性が高いことが明らかになった。

バーリ大学(イタリア)のNicola Decaroらは、2020年3〜5月にイタリア北部の540匹のイヌと277匹のネコの鼻、咽喉、直腸をぬぐって検体を採取した(E. I. Patterson et al. Preprint at bioRxiv http://doi.org/d4r7; 2020)。これらの動物たちは、感染者のいる家庭や、COVID-19患者の多い地域で飼われていた。

検体のSARS-CoV-2のウイルスRNAを調べる検査では、陽性のペットはいなかったが、一部の動物では血液中を循環する抗ウイルス抗体の有無も検査した。すると、イヌの約3%、ネコの約4%で、過去にウイルスに感染していた証拠が見つかった。

ネコとイヌの感染率は、検査時点での欧州の人々の感染率と同程度であり、ペットの感染が珍しくないことを示唆している。今回の所見は、まだ査読を受けていない。

7月24日

イスラエルの学校でマスクの着用義務が中断された後にウイルス感染が激増

イスラエルの中等学校で、熱波の間、生徒がマスクを外すことを許可したところ、その後150人以上の生徒がSARS-CoV-2に感染した。

イスラエルの学校が2020年5月17日に完全に再開してから約10日後、エルサレムの中等学校の2人の生徒がCOVID-19と診断された。エルサレム保健省のChen Stein-Zamirらがこの学校でのアウトブレイクを調査した結果、153人の生徒と25人の職員が感染していたことが判明した(C. Stein-Zamir et al. Euro Surveill. http://doi.org/d4sw; 2020)。さらに6月中旬までに、このアウトブレイクに伴う濃厚接触者87人も感染していたことが分かった。

ウイルスの拡散は、5月19日から21日にかけて熱波が発生した際に、エアコンが多用され、生徒のマスク着用義務が中断されたことが影響している可能性がある。学校での密集状態も影響を及ぼした可能性がある。各教室には35~38人の生徒がいて、生徒1人当たりのスペースは1.1~1.3m2しかなかった。

7月22日

重症患者は多様で強力な抗体を産生する

少量の投与でもSARS-CoV-2が細胞に感染する能力を阻害できる多様な抗体のグループが見いだされた。

中和抗体と呼ばれる免疫系タンパク質は、標的細胞に侵入しようとする敵対的な微生物を阻止する。コロンビア大学バジェロス内科医・外科医カレッジ(米国ニューヨーク市)のDavid Hoらは、COVID-19の重症患者5人の血漿中の中和抗体を調べた(L. Liu et al. Nature http://doi.org/d4md; 2020)。

in vitroでの感染実験で、細胞へのSARS-CoV-2感染を防ぐのに非常に効果的な中和抗体が19種類得られたことが分かった。いずれか1種類の抗体を少量投与することで、ゴールデンハムスターをSARS-CoV-2感染から保護することができた。

19種類の抗体は、コロナウイルスのスパイクタンパク質上のさまざまな部位に結合する。複数の抗体を投与してスパイクタンパクの複数の部位に結合させる治療法は、ウイルスが変異によって抗体から逃れることを困難にする可能性がある。

新型コロナウイルス検査の検体採取ために綿棒で口内をぬぐわれている少女(北京)。 | 拡大する

Kevin Frayer/Getty

7月21日

ウイルス量は治療の目安となる可能性がある

スイスの病院で数千人の鼻咽頭から採取した検体の分析により、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者のウイルスRNAの量は、臨床医が最適な治療法を決定するための目安となる可能性があることが明らかになった。

ローザンヌ大学病院のOnya Opotaらは、2月1日〜4月27日にSARS-CoV-2に感染した4172人から採取した検体のウイルス量(基準体積の物質中に含まれるウイルスの量)を分析した(D. Jacot et al. Preprint at medRxiv http://doi.org/d4b8; 2020)。その結果、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)には2つの明確な段階があることが明らかになった。疾患の初期のウイルス量は多く、進行とともに徐々に減少する傾向があった。疾患の後期段階の典型的な特徴は炎症である。それ故、ウイルス量の減少は、感染者に抗炎症薬を投与する治療を開始するための目安となる可能性がある。

しかしながら、研究者らはウイルス量と疾患の重症度との間に相関関係を見いだしておらず、これはウイルス量が患者の予後の予測に適していないことを示唆している。なお、この研究はまだ査読を受けていない。

コルカタ(インド)の病院で、COVID-19から回復して退院する人々。 | 拡大する

Samir Jana/Hindustan Times via Getty

7月16日

抗ウイルス抗体は感染後数週間以内に減少する

これまでで最も包括的な研究によると、SARS-CoV-2の影響を中和する主要な抗体の濃度は、感染から数カ月以内に非常に低くなるという。

中和抗体は、病原体が細胞に感染するのを阻止することができる。しかし、コロナウイルスに対するこうした抗体反応は、しばしばほんの数週間後で衰えてしまう。

ロンドン大学キングスカレッジ(英国)のKatie Dooresらは、65人のSARS-CoV-2感染者の中和抗体の濃度を最大94日間にわたってモニターした(J. Seow et al. Preprint at medRxiv http://doi.org/d3s2; 2020)。研究チームは、まだ査読を受けていないプレプリントで、抗体産生のピーク時には、COVID-19の重症患者の抗体濃度は軽症患者よりも高かったと報告している。

しかし、大半の人の抗体濃度は発症から約1カ月後に低下し始め、ときにほとんど検出不可能な濃度まで低下することもあり、中和抗体の産生を促すためのワクチンの効果の持続性に疑問を投げかける結果となった。

7月15日

ワクチンの最有力候補の臨床試験で有望な結果

COVID-19ワクチンの有力候補の安全性を確認する第1相臨床試験が45人の参加者に対して行われ、予備的なデータから、このワクチンがウイルスに対する免疫反応を生じさせることと、副作用をほとんど引き起こさないことが明らかになった。

モデルナ社(Moderna;米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)と米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)が共同で開発しているこのワクチンは、ヒト細胞にウイルスのスパイクタンパク質を作らせるメッセンジャーRNAからできていて、体内に注入すると免疫反応が起こるよう設計されている。

カイザー・パーマネンテ・ワシントン健康研究所(米国シアトル)のLisa Jacksonらは、治験参加者に、このワクチンの3種類の投与量のいずれかを4週間間隔で2回ずつ注射した(L. A. Jackson et al. N. Engl. J. Med. http://doi.org/d3tt; 2020)。ほとんどの副作用は軽度であったが、最高用量を投与された3人の参加者には、高熱など、より重い合併症が見られた。

注射後、参加者全員がSARS-CoV-2ウイルスを認識できる抗体を産生しており、感染を阻止することができる「中和抗体」も産生していた。このワクチンでCOVID-19を予防できるかどうかを検証するため、7月下旬に3万人が参加する第3相試験が開始される予定である。

7月15日

COVID-19重症患者の 免疫プロファイルに表れる特徴

COVID-19重症患者の免疫系のシグネチャーが突き止められた。

パリ大学(フランス)のBenjamin Terrierらは、SARS-CoV-2に感染した50人から採取した血液検体を分析した(J. Hadjadj et al. Science http://doi.org/gg4vjx; 2020)。重症患者では、軽症から中等症の患者に比べてインターフェロンと呼ばれる抗ウイルスタンパク質の産生量が少なく、炎症分子の産生量が多かった。また、実験参加者が集中治療室に入室せざるを得ない状態になる直前には、特定の種類のインターフェロンの血中濃度が低下することも明らかになった。

この結果は、血中インターフェロン濃度の低下が重症のCOVID-19の特徴であることを示唆している。研究者らは、炎症を抑え、インターフェロン濃度を上昇させる治療は、COVID-19患者に有効である可能性があるとしている。

新型コロナウイルス検査場で、検査を待つ人々が乗った自動車の列。米国カリフォルニア州ロサンゼルスで撮影。 | 拡大する

Valerie Macon/AFP/Getty

7月13日

ウイルスが2019年には米国に侵入していた可能性

モデル研究によると、米国の内陸部の多くに広がったSARS-CoV-2は、州の間を移動する人々によって運ばれたが、沿岸部ではおそらく2019年に国外からSARS-CoV-2が入っていたという。

ノースイースタン大学(米国マサチューセッツ州ボストン)のAlessandro Vespignaniらは、米国の新型コロナウイルスが、いつ、どのようにして定着したかを解明するために、航空交通や通勤パターンなどのデータを調べた(J. T. Davis et al. Preprint at medRxiv http://doi.org/d3mf; 2020)。研究チームは、沿岸の州のいくつかでは、海外からの旅行者を介してウイルスの持ち込みが助長されていたことを見いだした。カリフォルニア州とニューヨーク州では、2019年12月にはすでにSARS-CoV-2が広がり始めていた可能性がある。

しかし、内陸の州の多くでは、海外旅行者ではなく国内旅行者が第1波の感染源となっていた。感染が米国中に広がったのは1月下旬から3月上旬にかけてだが、ほとんど検知されなかったと著者らは述べている。なお、この論文はまだ査読を受けていない。

7月10日

大規模な接触追跡でナイトクラブ関連の数百症例を発見

韓国ソウル市内で人気のナイトクラブ地区でSARS-CoV-2の急速な流行が発生した際、携帯電話とクレジットカードのデータを活用することで、約250人の感染者を特定することができた。

韓国のナイトクラブが4月30日に営業を再開して間もなく、保健当局は、ソウルの梨泰院(イテウォン)クラブ地区を訪れた人々の間でCOVID-19のクラスターが発生していることを指摘した。ソウル大学ボラマエ医療センターのJin Yong Leeらは、携帯電話の位置情報やクレジットカードの支払い記録などの情報を用いて、4月下旬〜5月上旬に梨泰院のクラブかその付近で過ごした6万人以上を特定した(C. R. Kang et al. Emerg. Infect. Dis. http://doi.org/gg4fhj; 2020)。その全員がSARS-CoV-2の検査を受けるように勧められた。

5月下旬までに、当局はそのうちの4万人以上を検査した。この取り組みにより246人の感染が判明したが、中には、クラブ利用者からの3次、4次、さらには5次感染した人々も数人含まれていた。

7月9日

毎週検査を実施しても大学での感染は急増する可能性がある

居住施設のあるキャンパスを安全に再開するためには、大学は1日おきに学生のCOVID-19検査を行う必要があるかもしれない。

エール大学公衆衛生大学院(米国コネチカット州ニューヘイブン)のDavid Paltielらは、80日間の学期中に5000人の学生の間で発生すると考えられる感染症の件数について、さまざまな検査戦略の効果をモデル化した(A.D. Paltiel et al. Preprint at medRxiv http://doi.org/d3cc; 2020)。

1つのシナリオでは、毎週5人の学生が新規に感染し、それぞれが1人当たり他の2.5人の学生に感染させ、陽性と判定された学生は隔離されると仮定した。研究チームは、迅速で比較的安価な検査法を用いて1日おきに学生を検査すれば、1学期中の感染者数を約135人に抑えられ、1学期当たりの検査費用は学生1人につき470ドル(約5万円)で済むことを見いだした。しかし、検査の頻度を1週間に1回とすると、感染数は爆発的に増加すると推定される。

ウイルスの伝播率がもっと高い場合、感染を管理可能なレベルに抑えるためには毎日検査を行う必要があり、その費用は2倍になる。著者らは、ソーシャルディスタンスを確保するなどの予防策が今後も不可欠であると強調している。なお、この論文はまだ査読を受けていない。

7月8日

スペインでは地方の感染率に大きなばらつきが見られる

SARS-CoV-2に感染した人を特定するための欧州で最大規模の研究から、これらの感染者の約3分の1が無症状だったことが明らかになった。

カルロス3世衛生研究所(スペイン・マドリード)のMarina Pollánらは、4月27日〜5月11日にかけて、スペイン全土から無作為に選んだ世帯の6万1000人以上を対象にSARS-CoV-2抗体(新型コロナウイルス感染に反応して体の免疫系が産生する抗体)の検査を行った(M. Pollán et al. Lancet http://doi.org/gg332t; 2020)。その結果、抗体保有率に大きな地理的変動があることが報告された。マドリードのような内陸部では10%以上の人が陽性反応を示したのに対し、沿岸部のほとんどの州では3%未満だった。

全国では約5%の人が陽性となり、そのうち3人に1人程度が無症状であった。研究者らはこの結果から、スペインでは、無症状だったために検知されなかったSARS-CoV-2感染者が約100万人いた可能性があると推定している。

COVID-19で死亡した人の肺組織(左)は、複数の種類の免疫細胞(色つきの点、右)の存在を示している。 | 拡大する

David A. Dorward & Christopher D. Lucas

7月7日

免疫反応とCOVID-19による死亡とを結び付ける剖検結果

COVID-19で死亡した11人の剖検に基づく研究から、体内のウイルスのホットスポットと炎症や臓器損傷の部位との間にミスマッチがあることが分かった。これは、死因がウイルスそのものではなく免疫反応にあることを示唆している。

COVID-19の一部の重症患者で見られる臓器損傷に免疫系が関与していることは、これまでにも多くの研究で示唆されてきた。エディンバラ大学(英国)のChristopher LucasとDavid Dorwardらは、詳細な剖検を行い、体内のSARS-CoV-2のRNAやタンパク質の分布を炎症や損傷の部位とともにマッピングした(D. A. Dorward et al. preprint at medRxiv http://doi.org/d27t; 2020)。

肺を含む37の解剖学的部位を調べたところ、ウイルスの量と炎症との間にはほとんど相関関係がないことが分かった。ウイルスが存在するのに炎症を起こしていない組織もあれば、損傷を受けているがウイルス濃度は高くない組織もあった。なお、この論文はまだ査読を受けていない。

(翻訳:三枝小夜子)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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