Editorial

制度的な人種差別の廃絶に向けて科学は耳を傾け、学び、変わらなければならない

Nature ダイジェスト Vol. 17 No. 9 | doi : 10.1038/ndigest.2020.200945

原文:Nature (2020-06-09) | doi: 10.1038/d41586-020-01678-x | Science must listen, learn and change

研究における黒人差別の慣習を終わらせることに、Nature は全力で取り組みます。

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CHANDAN KHANNA/AFP/GETTY

ジョージ・フロイド氏が米国ミネアポリス警察によって殺害され、ドナルド・トランプ大統領が全米各地の抗議デモを鎮圧したために、世界中が怒りを感じ、世界の各都市でデモ行進が行われました。米国では、黒人が殺害されると、その都度、黒人が人生のあらゆる局面で受け続けている不公正な扱い、暴力、制度的不平等を思い出すようになっています。本来、そのような流れになってはいけないのですが……。

黒人の人々は、白人と比べて警察によって命を落とす可能性が高いし、失業する可能性も高く、COVID-19によって明らかになったように健康を害する可能性も高いのです。また、黒人が少数派である国のほとんどで、黒人は、同じように社会の主流から取り残されています。

Nature は警察の偏見と暴力を非難し、あらゆる形の人種差別に反対し、世界中の人々と共に「Black Lives Matter(黒人の命を大事にしろ)」と、はっきりと主張します。

そう主張することは必要ですが、それだけでは不十分です。引き続き、意味のある行動を取る必要もあるのです。

黒人の人々(研究者を含む)はソーシャルメディアを利用して、そうした行動のあるべき姿を説明し、学界と科学を公平なものにするために必要な措置について論じた過去数十年間の文献を取り上げています。このように文献がほとばしり出ている理由の1つは、定評のある研究機関や出版物(例えばNature)で発表する場や紙面が黒人の研究者に与えられてこなかったことにあります。

研究と学問における偏見について責任を負う白人の機関の1つがNature であることを私たちは認めます。科学に関わる企業であるNature は、これまで制度的な人種差別に加担し、今でも加担しています。Nature は、こうした不公正な扱いを改め、社会の主流から取り残された人々の声を大きく伝えるために、さらに努力を重ねなければなりません。

今後、Nature では、そのためになお一層の努力をして、私たちが行う必要のある数々の改革について私たちが説明責任を負うプロセスを確立することに、全力で取り組みます。

それに加えて、Nature は客員編集者の指導の下、研究、研究方針および出版における制度的な人種差別を探究し、Nature が担った役割も調べて、特別号を発行することに全力で取り組みます。

私たちは、研究コミュニティーと共に、耳を傾け、反省し、学習し、行動しなければなりません。私たちは、制度的な人種差別を終わらせる責任を回避してはならないのです。

(翻訳:菊川要)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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