動物は実際、何を考えているのか
神経科学者たちは、おびただしい数のデータを精査して、攻撃性や欲求などの心の状態および感情を脳が生み出す仕組みを明らかにしようとしている。
拡大するILLUSTRATION BY KAROL BANACH
Nature ダイジェスト Vol. 17 No. 11 | doi : 10.1038/ndigest.2020.201124
原文:Nature (2020-08-13) | doi: 10.1038/d41586-020-02337-x | Inside the mind of an animal
2018年のある日のこと。神経科学者のJennifer LiとDrew Robsonは、ゼブラフィッシュの脳の実験で得られた数テラバイトのデータを調べていたときに、精神を表すように思われる少数の細胞を偶然発見した。
2人は、ゼブラフィッシュの幼魚が餌を探している際の脳の活動をマッピングして、神経の対話がどのように変化するかを調べる計画を立てていた。それは彼らがハーバード大学(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)で開発した技術的なプラットフォームを用いた最初の重要な試験だった。ゼブラフィッシュの幼魚はまつげくらいの大きさしかないが、その幼魚が直径35mmの皿の中で自由に泳ぎながら、ミクロサイズの餌を食べている間、幼魚の脳の全ての細胞をこのプラットフォームで可視化することができる。
彼らのデータの山から、幼魚が次に餌を捕らえて飲み込む時を予測できる少数のニューロンが見つかった。これらのニューロンのいくつかは、幼魚が餌を注視する数秒前に既に活性化してさえいた1。
他にも奇妙なことがあった。データをさらに詳細に見ていくと、その「精神」細胞は異常に長い時間、活性化していることが分かった。ほとんどのニューロンの活性化時間は数秒程度だが、この「精神」細胞では数分間に及んだ。実際、幼魚の捕食活動時間とだいたい同じ長さだったのだ。
「それは実に不可解でした。全く合点がいきませんでした」とLiは言う。
LiとRobsonは文献を調べ、やがて、それらの細胞は総合的な「脳の状態」、つまり幼魚に目前の餌を捕らえるように準備させる長期的脳活動パターンを設定しているに違いないと、徐々に考えるようになった。というのも、過去数年間に、さまざまなアプローチや異なった種を使用して研究を行っている他の科学者たちが、動物がどう行動するかを変更させる脳の内部状態があることを発見し、発表していたからだ。これは外部環境に何も変化がないときでさえ起こる。
LiやRobsonなどの数名の科学者は、自分たちが得た脳全体のデータをじっくりと調べている間に、偶然にもその発見に至っていた。一方、脳の内部状態を符号化するニューロンが存在するに違いないという仮説を立て、はっきりと区別できるよく研究されている脳領域で積極的にそうしたニューロンを探してきた研究者たちもいる。例えば、2020年前半に、カリフォルニア工科大学(米国パサデナ)の神経生物学者David Andersonらは、ニューロンの小ネットワークが表現する脳の内部状態を特定した2。この状態は、ショウジョウバエに求愛行動または闘争行動を起こす準備をさせる。
脳の符号化言語の解明に取り組んでいる神経科学者たちは従来、細胞のネットワークが感覚情報にどのように応答し、動きや発話などの行動をどのように生み出すかを調べてきた。しかし彼らは、中間にある重要な部分を詳細に観察することができなかった。その部分とは、動物の気分や欲求を隠している莫大な量の神経活動であり、これが、動物が自身の行動を調整するのを助ける。わずか数年前でさえ、脳の内部状態の基礎となる特定のネットワークの活動を測定することは不可能であった。
多くの新しいテクニックによって、状況が変わり始めている。これらの方法で科学者たちは、脳における電気的活動を従来では考えられなかったほど詳細に追跡して、ミリ秒スケールで動物の自然な行動を定量化し、こうした実験から得られた膨大な量のデータからパターンを見つけることができるようになった。これらのパターンは、脳が採用できる無数の内部状態のシグネチャーであるかもしれない。現在取り組まなければならない難題は、これらの状態の意味を解明することである。
何人かの神経科学者は、こうした技術を使って脳の内部状態の1つの強力なグループ、すなわち感情を調べようとしている。また、動機などの状態や、渇望などの実存的活動に技術を適用している人々もいる。自分たちのデータに、なんと表現していいか分からない状態のシグネチャーを見いだしている者さえいる。
脳の内部状態に関する研究論文は、今のところまだ少数だが、その勢いは増しつつある。そうした研究には臨床応用の可能性さえあるかもしれない。「精神疾患とは本質的に、内部状態の崩壊にほかなりません」と、国立精神衛生研究所(米国メリーランド州ベセスダ)の所長であるJoshua Gordonは言う。「ですから、そうした状態を理解する必要があるのです」。
心の枠組み
動物の脳には、目、耳、鼻または皮膚などの感覚器から、周囲の環境についての大量の情報が絶え間なく送られてくる。こうした情報の全てが最初に脳の感覚野で処理される。次に、もっと謎めいた処理段階に入り、情報は、絶えず変化し続ける動物の気分と要求を表現する複数の脳の内部状態を通してフィルターにかけられる。そして最終的に運動野に到達し、状況に適合した行動が生み出される。例えば、うるさく飛び回るハエを手で払いのけるとか、おいしいご馳走に近づくといった行動だ。また、内部状態は知覚の入力も運動の出力もなしに完全に脳内だけで生じることもある。例えば、夢想するとか、心の中でその日の出来事を反芻するといったことを思い浮かべてほしい。
この数年間で、内部状態の性質に関する洞察により、脳のネットワークを研究する神経科学者たちの動物の行動についての考え方が変わろうとしている。コールド・スプリング・ハーバー研究所(米国ニューヨーク州)の神経科学者Anne Churchlandは、「私たちはかつて、動物は刺激応答マシンのようなものだと考えていました。でも今は、あらゆる種類の実に興味深いものが動物の脳内で生まれていて、それが知覚入力の処理のされ方を変え、動物たちの行動の出力も変えていると考え始めています」と言う。
この好奇心をそそられる中間地点をどのように研究したらいいのか。Andersonは長い間その概略を描き出すことに夢中になってきた。6年前に彼は、感情を表現する脳の内部状態の研究のための理論的枠組みを作り上げる決心をした。Andersonは一部の心理学者の考え方にうんざりしていた。彼らは、動物は感情を言葉に表すことができないため、動物の感情は研究できないと考えている。Andersonは、カリフォルニア工科大学の同僚Ralph Adolphsと共に、脳の内部状態に関連する神経回路に備わっているはずの特性について仮説を立てて、発表した3。
その仮説の中で最も重要なのは、AndersonとAdolphsが、脳の内部状態はその引き金となったそもそもの刺激よりも長く続くはずだと考えたことであった。だから、ある内部状態の基礎となる神経回路の重要な特色は長期持続なのだと、彼は言う。「山を歩いていて、蛇を見掛けたら、あなたは恐怖を感じてびくっとするでしょう」と、Andersonは言う。「10分後、あなたの脳の内部の恐怖状態はまだ活性化しているので、道に落ちている棒を見ただけで、あなたはまたびくっとすることでしょう」。
内部状態の他の特性には、一般化可能性(異なった刺激によって同じ状態が誘発できること)と拡張可能性(異なる刺激により異なる強さの状態を生み出せること)が含まれているはずだ。この論文の影響力は大きかった。Liは、自分とRobsonが精神細胞を理解しようとしていたとき、この論文が「ヒントとなった」と言う。
AndersonとAdolphsは2014年に自分たちの論文を発表した。ちょうど多くの神経工学技術によって、必要な実験が実現可能になり始めていたころだった(2013年10月号「脳科学の世紀」参照)。当時既に、多くの単一ニューロンから同時に記録を取ることが可能になっていた。それ以後、技術は向上して著しく拡張され、以前には測定不可能だった活動を分析できるようになっていた(2015年9月号「脳に注入可能な、超小型の神経活動記録装置」参照)。
中でも群を抜いているのが、長さがわずか10mmのニューロピクセル・プローブだ。これを用いることで、脳の異なる領域全体で数百個のニューロンの活動を直接記録できる4。そして、特殊なイメージング技術は、脳全体で、最大何万個もの単一ニューロンがどこで活性化しているかを示すことを可能にしている。例えば、カルシウムイメージングでは、細胞内にカルシウムイオンを検出する分子を発現するようにした遺伝子組換え動物を用いる。ニューロンが発火するときにカルシウムイオンがニューロン内に流入すると、その分子が蛍光を発するのだ。
新しい自動行動モニターは、数時間にわたって自由行動する動物の動画を記録し、あらゆる動きについてミリ秒単位の成分で分析する。次に各成分を神経記録と並べて、瞬間ごとの脳活動と特定の動きをマッチさせることができる。
神経科学者たちは機械学習や人工知能、そして新しい数学的ツールの急発展をフル活用して、これらの技術を使った実験で生み出されるギガバイトあるいはテラバイトのデータを解析し、脳の内部状態を表現している可能性のある神経活動パターンを見つけ出そうとしている。
行動を起こす準備
Andersonは、内部状態についての最初の研究は、自分のラボでこれまで行ってきたショウジョウバエの攻撃性についての研究に基づいて行うことに決めた。ショウジョウバエは約10万個のニューロンからなる小さい脳を持つ。多くの動物種では、雌が近くにいると、雄同士が戦いを始める。Andersonはこのよく知られている行動を、1人の女性を巡って戦争が始まったギリシア神話にちなんで「トロイのヘレン効果」と呼んでいる。ショウジョウバエも例外ではない。間接的な証拠から、雌に遭遇すると雄は求愛音を発し、他の雄への攻撃的な行動を始めることが示されている。「それは短命なショウジョウバエにとって、長い時間です」と彼は言う。
そのような社会的行動を制御する領域にあるニューロンは、P1として知られている。Andersonは、P1によって開始する持続的な求愛および攻撃的行動と相関する神経活動を探すことにした。これらのニューロンは極めて素早く発火するので、それらだけで内部状態を維持できるとは考えられなかった。彼の研究チームは自動化された行動分析と共にイメージング技術を使用して、P1活性化の結果活性化する、他の脳領域の細胞を特定した。
これらの「フォロワー細胞」の大部分は素早くスイッチをオン・オフするが、pCdニューロンと呼ばれるクラスターは、長い時間活性化したままだった。研究者たちがpCdニューロン中に光感受性タンパク質を挿入して、レーザーのフラッシュでそれらのスイッチをオフにすると、P1活性化の行動への持続的効果は消失した。また、P1を迂回して直接pCdニューロンを活性化させても、何も起こらなかった。pCdニューロンは引き金としてP1を必要とし、いったん作動すると、初期の誘発よりもはるかに長い時間持続した2。もしAndersonがその状態に名前を付けなければならないとしたら、「ready-to-engage-in-these-social-behaviours(こうした社会的行動を起こす準備ができた)」状態と呼ぶかもしれない。
彼のチームは、マウスで同様の実験を行ってきた5。マウスは約1億個のニューロンを含むより複雑な脳を持つ。彼らは、マウスで視床下部のニューロンの特別な集団を発見した。それらの細胞は、まさしくpCdニューロンのように、生得的な動因(この場合は恐怖)と関連して持続的に活性化される。わずか数秒間、実験用マウスの近くにラットを置くだけで、マウスは防衛反応を起こして、数分間壁にぴったりとくっついて離れなくなり、そしてそのニューロン集団はこの時間中ずっと活性化したままだった。研究チームがここでも光を利用してニューロンのスイッチを切り替えたところ、ラットがいなくても、スイッチ切り替えに応じてマウスが壁にくっつく行動もオン・オフした。
神経科学者たちは現在、異なる脳領域で持続的に活性化する他のニューロン集団を発見している。フリードリヒ・ミーシャー生物医学研究所(スイス・バーゼル)のAndreas Lüthiとバーゼル大学(スイス)のJan Gründemannは、マウスでカルシウムイメージングを使用して、さまざまな感情や行動の調節の中枢である扁桃体で探索を行った。研究チームは、2つの異なるニューロン集団が、マウスが2つの異なる行動(周囲環境の探索と、すくみなどの防御的行動6)の間で切り替えを行うときに、相反する持続的な活性化を示すことを発見した。
Gründemannは、扁桃体の細胞が単独で働いている可能性は低く、探索状態と防御状態の維持には脳全体の細胞が関わっていると認めている。「私は、これはより大きい脳全体のネットワーク中の1つのノード(節点)にすぎないと確信しています」と彼は言う。
全体像
多くの研究者が持続的な活動をするニューロンを特定の脳領域で探してきたが、LiとRobsonが2018年に持続的に活性化するニューロンを見つけたのは、ほとんど偶然だった(2人は2019年9月、チュービンゲンのマックス・プランク生物人工頭脳研究所を共同運営するためにドイツに移った)。
ゼブラフィッシュの幼魚は約8万の脳細胞しか持っておらず、ショウジョウバエほど複雑ではない。これらの幼魚は透明であるため、カルシウムイメージングを用いてほとんど全てのニューロンの活動を同時にモニターできる。

J. C. Marques et al./Nature
LiとRobsonは幼魚が皿の中で自由に泳ぐ間に、運動と神経活動の両方を同時に追跡できる方法を開発した。彼らは、イメージング・プラットフォーム上で動くことができる蛍光顕微鏡追跡システムを使って幼魚が泳いでも常に観察できるようにし、幼魚が動くときのあらゆるニューロンの発光を捉えた。また、システムは、幼魚の動画も撮影するので(通常90分間で4.5テラバイトのデータが生じる)、実験者は秒単位で、ニューロン活動と幼魚の動きを並べることができる。
幼魚は、マウス、いやハエと比べても、豊かな精神生活を持っていないように思われるかもしれないが、生活の中で少なくとも1つ、確固たる行動上の選択を迫られる。近い所で捕食行動をするか、なじみのない水域へ泳いで行って新しい食料源を探すか、である。LiとRobsonは、幼魚がこの選択をしているのを観察しているときに、3つのニューロン集団を見つけた。近辺で捕食活動をしている間、持続的に活性化していた集団。探索の間、活性化したままだった第2の集団。そして魚が状態を切り替えたときに短時間発光した3番目の集団だ1。状態は数分ごとに自動的に切り替わったが、驚いたことに、飢餓は状態に影響を及ぼしていないようであった。「自動的に切り替わるヒトの睡眠サイクルのようなものです。ただし、タイムスケールはもっと短いですが」とRobsonは言う。
もっと複雑な生物で研究を行う場合、一度に脳全体をモニターすることはできない。しかし、脳内に広く分布しているネットワークによる脳の内部状態についての手掛かりは発見できている。神経科学者たちはマウスでの技術的に難しい実験で、カルシウムイメージングを使用して脳全体で数千個ものニューロンの活動を記録したり、単一ニューロピクセル電極(電極は同時に複数挿入できる)を用いて数百個のニューロンの活動を記録したりしてきた。
2019年に発表された研究で7、スタンフォード大学(米国カリフォルニア州)の神経科学者Karl Deisserothの研究チームは、ニューロピクセル・プローブを用いて、飲み口から水を舐めている喉が渇いているマウスの皮質および皮層下の34カ所の脳領域から2万4000個のニューロンの活動を記録した。Deisserothらは渇きの脳状態に関連する信号を、舐め行動に関連する信号から引き出すことができた。その結果、これらの状態を信号化するニューロンは、渇き専用ニューロンが存在している視床下部だけでなく、脳全体で活性化されていることが分かった(2019年10月号「光遺伝学でマウスに幻視を誘発」参照)。
神経科学者たちがこれらの広範囲な記録テクニックを使用したところ、動物が課題を実行しているときに表面下で多くのことが起こっていることが分かった。また一見したところ、その全てが課題と関連しているということではなさそうだった。2019年に発表された画期的な論文で、Churchlandとロンドン大学ユニバーシティカレッジ(英国)のKenneth Harrisが率いるチームは、マウスが課題を行っているとき、ニューロンは脳全体で活性化するが、活性化の大部分が課題とは全く関連しないことを示した8,9。その代わりに、一部の活動は動物のそわそわした動きと相関していた。しかし、課題とは関係ない活性化の約3分の2は、どんな活動や動作とも符合していなかった。「この一部は、脳の内部状態に関連しているのかもしれません」と、Harrisは言う。
忙しい脳
また、多くの神経科学者が、脳全体の実験で流れ出てくる莫大な量のデータが、この分野の研究の最大のボトルネックでもあると言う。しかし、測定値の洪水をふるいにかける技術の開発が進んでいる。よく使われている手法の1つは、隠れマルコフモデル(HMM)と呼ばれる数学的方法を使用したもので、あるシステムが特定の時に異なった状態に切り替わる確率を予測する。
プリンストン大学(米国ニュージャージー州)のMala Murthyらは、HMMを使用し雄ショウジョウバエが雌に求愛行動をしているときの求愛音のパターンの選択に影響を与える、脳内のリズムを発見した10。雄のハエが、スタッカートのパルスか、より長いブンブンいう音をその時々で選ぶかどうかは、全面的ではないもののかなりの部分、雌が求愛音にどう反応するかによって決まる。Murthyのチームは、3つの異なる脳の内部状態も雄の求愛音の選択に影響することを見いだした。彼らはこのハエの傾向をClose(接近)、Chasing(追跡)、Whatever(その他)と呼んだ。
個々の研究者が採用するモデル生物(虫、魚、ハエ、マウスなど)がどれほど複雑でも、脳全体がどのように内部状態を調整するかという疑問は「私たちが皆、考え始めていることです」と、マサチューセッツ工科大学(米国ケンブリッジ)のSteve Flavellは言う。2013年にFlavellらは、たった302個のニューロンしか持たない線虫(Caenorhabditis elegans)の脳でさえ、特定の行動を誘発する脳の内部状態の性質を示すことを発見した。例えば、持続的に活性化している2セットのニューロンにより、同じ場所に居続けるか、目的を持って移動するかが制御されている11。彼のチームはそれ以来、2つの状態とそれらの切り替えに関わる完全な神経回路を特定している12。
基礎生物学に関する疑問を解明することだけでなく、研究者たちは特定の状態が脳にどのように現れるかを理解することで、臨床に応用できるのではないかと考えている。例えば、齧歯類モデルで痛みを研究している人々は、ラットがいつ熱いプレートから足を上げるかを観察するといった標準的な試験に頼っている。「こうした動きは、痛みの保護的な局面を反映していますが、実際の痛みの知覚を反映しているわけではありません」と、ボストン小児病院(米国マサチューセッツ州)の神経科医Clifford Woolfは言う。そのため、これは痛みのモデルとして適切とはいえないと彼は述べる。実際の知覚からワンステップ離れているからだ。彼は、疼痛知覚の内部状態を示す脳信号を直接読み取るための研究プログラムを開始した。おそらく、動物の反応を待つよりも、より時間的に正確で特異的な読み取りになるだろう。「私は極めて楽観的に考えています。私たちは科学における稀な段階の1つにいて、これから研究のやり方がすっかり変わることでしょう」と彼は言う。
この新しい分野では、誰もが基礎さえも手に入れられるとLiは言う。「現在の段階では、私たちはまだ、疑問は何なのかを理解しようとしているところです」。
(翻訳:古川奈々子)
Alison Abbottは、ミュンヘン(ドイツ)に拠点を置くライター。
参考文献
- Marques, J. C., Li, M., Schaak, D., Robson, D. N. & Li, J. M. Nature 577, 239–243 (2020).
- Jung, Y. et al. Neuron 105, 322–333 (2020).
- Anderson, D. J. & Adolphs, R. Cell 157, 187–200 (2014).
- Jun, J. J. et al. Nature 551, 232–236 (2017).
- Kennedy, A., Kunwar, P. S., Li, L., Wagenaar, D. & Anderson, D. J. Preprint at bioRxiv https://doi.org/10.1101/805317 (2020).
- Gründemann, J. et al. Science 364, eaav8736 (2019).
- Allen, W. E. et al. Science 364, eaav3932 (2019).
- Stringer, C. et al. Science 364, eaav7893 (2019).
- Musall, S., Kaufman, M. T., Juavinett, A. L., Gluf, S. & Churchland, A. K. Nature Neurosci. 22, 1677–1686 (2019).
- Calhoun, A. J., Pillow, J. W. & Murthy, M. Nature Neurosci. 22, 2040–2049 (2019).
- Flavell, S. W. et al. Cell 154, 1023–1035 (2013).
- Cermak, N. et al. eLife 9, e57093 (2020).