News Feature
01 March 2018
脳波を操作して病を治療する
マサチューセッツ工科大学(MIT;米国ケンブリッジ)の神経科学者Li-Huei Tsaiは、2015年3月、実験室にマウス用の小さなディスコを設置した。明滅するストロボライトだけに照らされるこの箱の中に、彼女はマウスを毎日1時間入れた。興味津々といった様子で箱の中をはい回っているこのマウスたちは、脳内でアミロイドβというペプチドのプラークを産生するように改変されている。このプラークはアミロイド斑と呼ばれ、アルツハイマー病の顕著な特徴として知られている。Tsaiが後にマウスたちを解剖したところ、ミニダンスパーティーに参加したマウスは、同じ時間を暗闇の中で過ごしたマウスに比べて、プラークのレベルがかなり低かった1。
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翻訳:古川奈々子
Nature ダイジェスト Vol. 15 No. 6
DOI: 10.1038/ndigest.2018.180619
原文
How flashing lights and pink noise might banish Alzheimer’s, improve memory and more- Nature (2018-03-01) | DOI: 10.1038/d41586-018-02391-6
- Helen Thomson
- Helen Thomsonは、ロンドンを拠点とする科学ジャーナリストで、『Unthinkable: An Extraordinary Journey Through the Worldʼs Strangest Brains.』の著者。
参考文献
- Iaccarino, H. F. et al. Nature 540, 230?235 (2016).
- Berger, H. Arch. Psychiatr. Nervenkr. 87, 527?570 (1929).
- Wilson, M. A. & McNaughton, B. L. Science 265, 676?679 (1994).
- Helfrich, R. F. et al. PLoS Biol. 12, e1002031 (2014).
- Koenig, T. et al. Neurobiol. Aging 26, 165?171 (2005).
- Cardin, J. A. et al. Nature 459, 663?667 (2009).
- Papalambros, N. A. et al. Front. Hum. Neurosci. 11, 109 (2017).