News & Views

大気の微量成分からエネルギーを得る南極の微生物

南極大陸が完全に氷で覆われているわけではないと聞くと、意外に思う人もいるかもしれない。無氷地帯は南極大陸の0.4%に満たないが1、この地域の土壌の大部分は、水浸しから超乾燥状態まで、一般的な生物にとって過酷な条件が混在した状態であり、南極半島を別にすれば、この極端な土壌条件により多細胞植物の生育は阻まれている。その結果、南極大陸の寒冷な砂漠地帯では、重要な生態系サービスの多くが細菌によって提供されている。極めて重要なエネルギー捕捉過程の1つに、光によるシアノバクテリアの光合成がある。この過程では、大気中の二酸化炭素ガスがこの微生物の有機分子に固定される2。今回、ニューサウスウェールズ大学(オーストラリア・シドニー)のMukan Jiらは、南極の極限的な(シアノバクテリアが少ない、または全く存在しない)陸上環境では、光合成とは異なるエネルギー捕捉機構が働いている可能性を示し、これまでほとんど知られていなかったこの機構について、Nature 2017年12月21日号400ページに報告した3

全文を読むには購読する必要があります。既に購読されている方は下記よりログインしてください。

翻訳:小林盛方

Nature ダイジェスト Vol. 15 No. 3

DOI: 10.1038/ndigest.2018.180334

原文

Energy from thin air
  • Nature (2017-12-21) | DOI: 10.1038/d41586-017-07579-w
  • Don A. Cowan & Thulani P. Makhalanyane
  • Don A. Cowan & Thulani P. Makhalanyaneは、プレトリア大学微生物生態学ゲノミクスセンター遺伝学科(南アフリカ)に所属。

参考文献

  1. Bockheim, J. G. in Antarctic Terrestrial Microbiology (ed. Cowan, D. A.) Ch. 16 (Springer, 2014).
  2. Cary, S. C., McDonald, I., Barrett, J. E. & Cowan, D. A. Nature Microbiol. Rev. 8, 129–138 (2010).
  3. Ji, M. et al. Nature http://dx.doi.org/10.1038/nature25014 (2017).
  4. Chan, Y., Van Nostrand, J. D., Zhou, J., Pointing, S. B. & Farrell, R. L. Proc. Natl Acad. Sci. USA 110, 8990–8995 (2013).
  5. Wu, Y.-W., Tang, Y.-H., Tringe, S. G., Simmons, B. A. & Singer, S. W. Microbiome 2, 26 (2014).
  6. Wood, S. A., Rueckert, A., Cowan, D. A. & Cary, S. C. ISME J. 2, 308–320 (2008).
  7. Conrad, R. Microbiol. Rev. 60, 609–640 (1996).
  8. Geelhoed, J. S., Henstra, A. M. & Stams, A. J. M. Appl. Microbiol. Biotechnol. 100, 997–1007 (2016).
  9. Lalonde, I. & Constant, P. Appl. Environ. Microbiol. 82, 1324–1333 (2016).
  10. Hoshino, T. & Inagaki, F. Lett. Appl. Microbiol. 64, 355–363 (2017).