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TMTの建設許可が無効に

Nature ダイジェスト Vol. 13 No. 3 | doi : 10.1038/ndigest.2016.160311

原文:Nature (2015-12-10) | doi: 10.1038/nature.2015.18944 | Mega-scope’s permit revoked

Alexandra Witze

日本を含む5カ国でマウナケア山に建設中の30メートル望遠鏡(TMT)について、ハワイ州最高裁判所は建設許可を無効とした。

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MarcelC/iStock/Getty Images Plus/Getty

2015年12月2日、ハワイ州最高裁判所は、マウナケア山頂へのTMTの建設につきハワイ州土地・天然資源委員会が出した許可は無効であるとする判決を下した。今回の判決は、総工費15億ドル(約1800億円)のTMTの建設を目指す国際コンソーシアムに大きな打撃を与え、神聖な山頂への望遠鏡の建設に反対してきたハワイ先住民に勝利をもたらすものとなった。

裁判所は、建設反対派が公聴会で意見を述べる前にハワイ州土地・天然資源委員会が2011年に保護地区の利用許可を出したことを理由に、同委員会による許可は不適切であるとした。判決文には、「委員会が許可を出すに当たり物事の順序を間違えたことは明白である。故に許可は無効である」と記されている。

今回の判決を受けてもなおTMT建設計画を進めることができるのか、進められるとしたら具体的にどうすればよいのかは不明である。ハワイの外ではTMTの構成部品の製作が続いているが、マウナケアでの作業を再開するためには、ハワイ州土地・天然資源委員会から再度許可を受けなければならない。

TMTの建設予定地の一部はすでに整地され、2015年4月には建設が始まる予定だった。けれども反対派が建設予定地に続く道路を封鎖し、計画を停止させるために法的手段に訴えたのだ。

ハワイ大学(米国ホノルル)が管理するマウナケア科学保護区には現在、13基の望遠鏡がある。そのうち1基の望遠鏡は解体中で、さらに2基の望遠鏡の撤去が決まっている。TMT建設をめぐる対立をきっかけに、山頂の開発を制限する計画が加速したためだ(Nature ダイジェスト 2015年9月号「撤去を迫られるハワイの望遠鏡」参照)。

マウナケア山頂には世界有数の透明度を誇る空が広がっており、天文学に最適な環境である。一方で、そこにある自然と文化は尊重されるべきであり、保護する必要があるため、天文学への恩恵の方が重要であるということはないのだと、一部のハワイ先住民は主張する。また、多くの人々がソーシャルメディアを利用して裁判所の判決を賞賛している。

(翻訳:三枝小夜子)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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