Research press release

健康科学:糖尿病予防プログラムは確実に成功する

Nature

全国的な生活習慣改善プログラムが、前糖尿病患者にとって重要な健康改善をもたらすことを示した論文が、Natureに掲載される。この知見は、英国国民保健サービス(NHS)の糖尿病予防プログラムの評価に基づいており、行動変容プログラムが有効な糖尿病予防戦略になるという因果関係を示す証拠となった。

2023年までに、世界の成人人口の約10%が糖尿病に罹患すると予想されている。2型糖尿病は、予防可能な疾患である可能性があり、糖尿病リスクのある人々の健康を改善する手段として、生活習慣行動の変化を目標としたプログラムが提案されてきた。米国の研究で、こうした手法は、糖尿病を予防したり発症を先送りしたりする上で、原則として、メトホルミン(抗糖尿病治療薬)の投与よりも効果的であることが示された。しかし、各種資源が臨床研究環境よりも不足している現実世界の環境でも成功することを示す証拠は少ない。

今回、Pascal Geldsetzerらは、減量、食事、身体活動の目標を設定した大規模な介入プログラムであるNHS糖尿病予防プログラムの影響を評価した。このプログラムは、9カ月にわたる少なくとも13回の集団療法によって構成され、血糖値閾値が定められている患者を対象としている。約200万人の患者のデータの解析の結果、介入後に血糖値、BMI、体重、特定の脂肪のレベルが低下したことが明らかになった。例えば、平均BMIは1.35キログラム/平方メートル、体重は2.99キログラム減少した。こうした健康改善は、糖尿病、腎疾患、心血管疾患の進行を遅らせる可能性がある。

Geldsetzerらは、今回の知見から、生活習慣改善プログラムの健康上の効用が日常の医療現場で達成可能であることが実証されたと結論付けている。

doi: 10.1038/s41586-023-06756-4

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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