Nature ハイライト

神経幹細胞:オルガノイドの光明

Nature 545, 7652

ヒト脳の三次元細胞モデルであるオルガノイドは、脳の発生や疾患のin vitroでの研究を可能にしているが、正確にどの細胞が作られていて、脳の複雑性がどの程度再現されているのかは不明である。P Arlottaたちは今回、3~9か月およびそれ以降の発生段階にある30以上のオルガノイドから単離した細胞について、液滴を用いた単一細胞の遺伝子発現解析を行い、多能性幹細胞から分化したヒト脳オルガノイド内の細胞の種類を詳細に調べている。オルガノイド内では多様なニューロンおよび前駆細胞が生成されていることが明らかになり、より成熟したオルガノイドでは樹状突起スパインや電気的に活性なネットワークが形成されていて、こうしたネットワークが光刺激に応答することが示された。著者たちは、オルガノイドを用いることで、生理学的な感覚機構を使った神経回路機能の研究が促進するのではないかと考えている。

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