Nature ハイライト

Cover Story:潤いを保ち続けるアマゾンの熱帯雨林:アマゾン盆地の水文気候の変化に対する森林の復元力を示す4万5000年間の記録

Nature 541, 7636

表紙は、2016年4月6日に国際宇宙ステーションから撮影されたアマゾン川。アマゾンの森林は、気候変動と生物化学的変動の大部分に対して、年々から1000年の時間スケールで応答するとともに影響も及ぼしている。しかし、この地域における過去の気候変動の分解能の高い記録を手に入れるのは難しく、最終氷期極大期(LGM)においてアマゾンの森林が湿潤だったのか、乾燥していたのかについてすら、これまでよく分かっていなかった。X Wangたちは今回、アマゾン川流域東部のパライソ洞窟にある方解石堆積物の石筍から、過去4万5000年にわたる酸素同位体データを集めている。このデータは、降水量は、約2万1000年前のLGMでは現在の約半分であったが、6000年前の中期完新世では約50%多く、気温と二酸化炭素の全球的変化と時期的におおむね一致していることを示している。アマゾン川流域は、氷期には今より乾燥していたが、熱帯雨林は存続していた。しかし、将来も存続し得るかどうかについては、結論がまだ出ていない。

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