Nature ハイライト

パターン形成:齧歯類における異なる縞模様の発生

Nature 539, 7630

アフリカに生息するヨスジクサマウス(<i>Rhabdomys pumilio</i>)。
アフリカに生息するヨスジクサマウス(Rhabdomys pumilio)。 | 拡大する

Credit: J. F. Broekhuis

哺乳類の体色パターンは、表皮のみが関係するうわべだけの特徴ではない。こうしたパターンは、その根底にある発生に関して多くの知見をもたらし、適応度に極めて重要なものとなり得る。では、それはどのような機構で生じているのか。H Hoekstraたちは今回、ヨスジクサマウス(Rhabdomys pumilio)の縞模様の発生について調べ、転写因子のALX3が色素細胞の成熟における分化速度の調節因子であることを明らかにしている。Alx3の発現は、胎仔の段階からすでにパターン化されており、最終的に生じる縞模様を予示している。Alx3はまた、メラノサイト分化のマスター調節因子であるMitfを抑制しており、これによって明色の毛が生じる。こうした背部の明色縞におけるAlx3発現の上方制御は、ヨスジクサマウスに限られた特徴ではなく、類似の背部外皮模様を独立に進化させたシマリスの明色縞でも見られることから、齧歯類のパターン形成に関する共通の基盤が明らかになった。

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