タンパク質折りたたみ：哺乳類ミトコンドリアのストレス応答

ミトコンドリアでの異常タンパク質応答（mitochondrial unfolded protein response；UPR^mt）経路は線虫の一種のCaenorhabditis elegansで詳細に調べられており、ミトコンドリアマトリックス内で高次構造が異常なタンパク質が感知されると、このストレスに対抗するために核遺伝子の発現プログラムが誘導されることが明らかになっている。だが、哺乳類細胞がマトリックス中の異常タンパク質にどのように応答するのかはまだよく分かっていない。今回C MünchとW Harperは、阻害剤を用いてミトコンドリアマトリックスで急性のタンパク質折りたたみ異常ストレスを誘導し、転写解析と定量的プロテオーム解析を行って、哺乳類細胞の応答を調べた。こうしたストレスによって核遺伝子の広範囲にわたる発現が誘導され、その中にはタンパク質の折りたたみやRNA前駆体のプロセシング、翻訳に関わるマトリックス局在タンパク質が含まれていることが明らかになった。この誘導に続いて、マトリックス局在タンパク質の合成が迅速に低下することが観察され、これは翻訳の阻害によるものだった。今回の研究は哺乳類のUPR^mtの研究をさらに加速することになりそうだ。

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