Nature ハイライト

Cover Story:冥王星の変化し続ける貌:ニューホライズンズが撮影したスプートニク平原の画像は、窒素氷の表面が自発的に変化していることを明らかにしている

Nature 534, 7605

表紙はNASAの探査機ニューホライズンズが撮影した冥王星のスプートニク平原である。ニューホライズンズは、関心を集めている冥王星地表面の詳細を明らかにしてきた。その1つである氷に満たされた巨大な盆地はスプートニク平原と呼ばれ、冥王星の地質学的活動の中心となっている。スプートニク平原の表面の大部分は主に窒素氷からなり、差し渡しが数十キロメートルの不規則な形の多角形に分割されていて、多角形の中心部分は周辺部より数十メートル高く盛り上がっている。今回、2つの研究チームが、ニューホライズンズが撮影したこの多角形地形の画像を分析している。両チームは共に、表面は対流によって頻繁に作り変えられていると結論しているが、その過程について2つのチームが作製したモデルは対照的なものである。A Trowbridgeたちはパラメーター化した対流モデルを報告しており、窒素氷は活発な対流運動をしていて、その厚さは10 km以上で、氷は100万年程前に生じたとしている。一方、ニューホライズンズチームのW McKinnonたちは、厚さ数キロメートルの固体窒素の層内での「sluggish lid」型の対流運動(表面に存在する蓋が上昇流領域で傾くことによる、波長の長い対流セルが時間的に安定な対流スタイル)が対流セル(多角形)の存在やそれらの大きな横幅の両方を説明できると論じている。

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