Nature ハイライト

生理:人体の設計は不完全なもの

Nature 427, 6975

ヒトの肺は設計に不完全なところがある。今週号に報告されたモデル化研究によると、もし肺が完全なものだったら、まったく機能しなかっただろうという。 ヒトの肺は、枝を方々に伸ばした樹木のように複雑な構造になっている。幹の部分にあたる気管は次々と数多くの細かい枝に分かれる。順に肺胞管が何度も分割されて、微小な終末部分でガス交換が行われる。 これらの枝分かれ構造の形状や容積が肺の機能効率を決める一因となっているのだと、B Mauroyたちは述べている。幾何学構造にほんのちょっとの変化があっても、空気の総流量が大きく変わってしまう可能性がある。Mauroyたちによれば、もし空気流量の効率が最大限になるように気管支が設計されていたなら、肺は機能不全で破綻しかねなかったのだという。

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