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生態:魚投棄量減少の影響は仲間の鳥へ

Nature 427, 6976

海鳥の中には、漁師が海に投げ捨てる魚の数が減ることで危険にさらされるものがあるようだ。魚類資源を守ろうとする流れに乗って水産物の投棄量は減少しつつあり、そのためオオトウゾクカモメ(Stercorarius skua)は投棄される魚の代わりにツノメドリやウミガラスといった同じ海鳥たちを餌にするようになってきたのだ。 オオトウゾクカモメは北海で食物連鎖の頂上に位置する捕食者だが、体が大きく漁船の周りに群れ飛ぶ他の鳥たちを押しのけることができ、漁船から投棄される魚も餌にしている。ところがS C Votierたちの報告によると、マダラなどの魚の漁獲高が以前より少なくなって、投棄される魚の数もめっきり減ったため、オオトウゾクカモメは自分より小さい海鳥たちを獲物にするようになったという。 Votierたちは、海鳥たちを守るために、投棄される魚の量を増やしたほうがいいと単純に訴えているわけではなく、イカナゴ類など群れて泳ぐ小型魚類を保護する策をとったほうがよいと考えている。こうした魚類は、投棄される魚資源の代わりにオオトウゾクカモメの食物資源となって、小型の海鳥にかかる捕食の圧力を軽減してくれるだろうからだ。

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