Nature ハイライト

医学:癌遺伝子の役割が判明

Nature 432, 7017

B細胞リンパ腫では、癌化した免疫細胞は、遺伝的欠陥のために適切な時期に死ぬ能力を失っている。長年にわたり、B細胞リンパ腫の原因を究明しようと、さまざまな遺伝子の機能が研究されてきたが、今回、癌遺伝子BCL6の果たす役割が解明された。 R Dalla-FaveraとR Phanは、BCL6が癌抑制遺伝子p53の活性を抑制することを明らかにした。抑制は、通常p53の発現の開始に使われる配列の中の2か所にBCL6が結合することによって起こる。p53が働けなくなるため、B細胞はDNA損傷対策がとれなくなり、その結果として癌が生じる。今回の研究は、このような遺伝的標的を考えに入れた新しい癌治療法の開発に役立つだろう。 これらの知見で、BCL6がリンパ腫では悪役を演じていることがわかったが、正常な免疫系では有用な働きをしている可能性も示唆された。BCL6は、細胞が低レベルのDNA損傷を受け容れて、免疫系細胞に必要な遺伝的変化を遂げられるよう助けているのかもしれない。

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