Nature ハイライト

量子物理学:量子カオス励起子ポラリトン系における非エルミート動力学

Nature 526, 7574

開放系であり、利得や損失を受ける非エルミート系では、直観に反する異常な効果の原因となるスペクトル縮退である除外点が生じることがある。近年、非エルミート物理を観測しようと、集中的な取り組みがさまざまな光学系で行われているが、励起子ポラリトンではまだ行われていない。励起子ポラリトンは光と物質のハイブリッド粒子であり、半導体微小共振器において光子と励起子(電子–正孔対)が強く相互作用して形成される。こうした系は、エネルギーポンピングが絶えず必要で、絶え間なく崩壊してコヒーレント放射を放出しているため、大きく開いた量子系である。カオス的な励起子ポラリトンビリヤード(湾曲したポテンシャル障壁に囲まれた二次元領域)に対する注目すべき実験で、こうした非エルミート性が初めて実証された。この実験によって、非エルミート系でしか見られない非自明なトポロジカルモード構造が明らかになった。今回の知見は、ポラリトンを用いたオプトエレクトロニクスデバイスの新しい種類の動作原理への道を開くものである。

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