Nature ハイライト

材料:無秩序結晶を用いた光学機器

Nature 432, 7015

医療・科学機器のための新しいさまざまな光源を生み出すことのできる材料が、今週号で報告されている。近い将来、レーザーでは作ることのできない周波数領域の光を生成するために高価な材料に代わって無秩序な多結晶が使われるようになりそうだ。このような周波数領域の光は、紫外光電子分光から光学メモリーに至る、幅広い応用に不可欠である。 3波混合とは2つの光波が相互作用して第3の光波が発生することである。2種類の周波数を含む光ビームを結晶に入射すると、2つの波長を組み合わせたことによって新しい波長の光を得ることができる。これらの光波は異なる速度で進むため、必要な周波数を作り出しにくいことがある。現在この問題は、ある単結晶材料を使用することで回避されているが、この材料は偏光軸を持たせて適切に結晶面を切り出さなければならず、作るのが難しい上に高価である。 今回E Rosencherたちは、同じ効果が多結晶材料で得られることを示した。彼らが用いた無秩序な多結晶のセレン化亜鉛(ZnSe)の中では、光が干渉なしでランダムに動く。新たに生じた信号は高強度で、使われた材料サンプルが長いほど出力光の強度は高くなる。この材料はチューニングの必要がなく、安価で作るのも容易である。 非線形光学における無秩序系の可能性は、今までほとんど探られていなかった。

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